Days


この織機はヨコ糸をシャトルに巻き取る機構が織機についてます。
空になったシャトルは外れて、次のシャトルがリフィルされる。
で、空のは糸が巻かれる。考えた人、すごい。

17FW用に新しく作っているブラックデニム。
糸は毎度おなじみ、綿から別注、アメリカ綿100%・自然ムラの7番糸。
今回、テンションはある程度かけて織ってます。
少し硬めの仕上がり。

WORKERSオリジナルでLot801/802作って以来、やっぱり良くはきます。
雑に扱っても良いし、でも、コーディネートを変えればすっきりも見える。

そうなると、今度は色のバリエーションが欲しくなります。
その一環で、春夏はホワイトを作りましたが、秋冬はブラックが欲しい。
シャツ+ジャケットだと、あまり激しく色落ちしないブラックは良く似合うんです。
ネイビーやブラックのニットと合わせても良いし。



そんなこんなで、10月から進めていた17FWのサンプルもやっと出し終わったので数日休んでおでかけ。と言っても、顔見世に合わせて大阪京都神戸近辺だけですが。

池波正太郎が若かりし日、12月、仕事のけりをつけて年末ちょっと前に行ってたというのを読んで以来「いいな~」と思っていて、自分の仕事の最近は12月下旬に何日か開くので真似して。

今年は南座はやってません。改装中。

中学生の頃、修学旅行で来て以来
「ここは何だ???」と気に成っていた、橋のたもとに立つ中華料理屋。
数年前、入ってみたら普通の中華屋さんでした。
エレベーターが渋い。

池波正太郎のエッセイで必ず出てくるイノダのサンドイッチ
「上にベーコンが乗って」と書いてあるのでこれでしょう。
最近、はっぴいえんどを良く聞いてるので
はっぴいえんど→松本隆→京都 でも良く出て来るイノダコーヒ。
先日、テレビに出てた時もイノダでインタビューしてました
(ここじゃなくて、奥の旧館ですが)

道沿いの店構えが良いんです。こんな感じのお店がやれたらなぁ
ここは火事の後に建て替えたので、今でも出来ない事は無い・・・か?

建て直しの時のレポート。すごく面白いです。
http://www.inoda-coffee.co.jp/99honten/99hon16.htm



木屋町サンボア
寺町、祇園にもありますが、私はいつもここです
この写真、実は前回行ったとき。今はコースターが違います・・・
もうすぐ寺町が出来て100年!記念コースター!
サンボア何周年だったかな?そのパーティーを山口瞳がエッセイに書いてて読みました。
帰りは神戸によってWORKERS専属モデル(でもちゃんと全部お買い上げいただいています)
松本さんに会いに。お元気でした。
Classic FitのBDが一番お気に入りだそうです。
柔らかくて、ゆとりがきっちりあるからかな?
という事で、私の休みはおしまいです。
年末・年始はそろそろ上がり出すサンプルのチェック、カタログ撮影が始まります。

微調整

今日は、一日微調整に明け暮れました。

画像は、チノパンの腰部分。
ここの裏に「腰裏」という布がつくのですが、今までやっていた半身・半身、別々に腰裏をつける場合、多少、上下で差があってもつきます。

上が36.22/下が38.70。差が2.5。差があっても、半身ならば腰裏はつく。
でも、後ろ中心で割りが無い、ぐるっと腰裏をつけようとすると皺が出来てしまう
もう一つアイデアで、腰裏をバイアス(ななめ)に生地を使う。これで、生地が伸びやすくなるのですが、そもそもビンテージはそんなことやってません。

ではどうやってるかというと・・・

縫う人の手加減で何とかしてます
巻き縫いがぐにゃっと曲がってますよね
これを現代で「手加減で!」といっても、中々うまく出来ないので、パターンで再現していきます。

微調整後。
上下の差寸が2ミリ程度。これなら全体でも4ミリ
脇線だけではなく、後ろ中心、さらにダーツのつまみ方も変更してます
これで、ぐるっと腰裏をつけることが出来ます。
ここのところ、ずっと半身の腰裏だった事。さらに、今、ビンテージを見ながら新に型紙を起こしたので脇線が微妙によく無い線でした。

WORKERS日々の業務、その一端。こんなことを工場と相談しながら繰り返す事で、物はすこーしづつ良くなっていくのです。

WORKERSはどうありたいか

昨日、高速道路を運転しててふと思ったのが「WORKERSってどんな風にありたいのか」。でてきたのは


仕事の事を考えるのはだいたい車運転してる時

「気取ってはいないけれど、どこか品があるというか」


それは、物としてもそうですし、販売方法含めた、ブランド?メーカー?の立ち位置、あり方もそうです。

私自身、ゴリゴリに「こんなお店でこんな風に売って、こんな売り場で」とか限定した考えはありません。
色々なお店で、いろいろな売れ方、いろいろなお客様に見てもらうのがWOREKRSらしいなと考えています。

たとえば、RRLのお店見ると「かっこいいな~」とは思うけど、あれやるならRRLが一番うまいわけで、そこをWORKERSが目指してもあまり意味が無い。

それに、家に持って帰ってシャツにしろ、パンツにしろ、ジャケットにしろ。物単体に成った時には、そのもの+着てもらう人がどれだけ似合うかの勝負になる。
今のところ、WORKERSはあくまで「メーカー」なので、物を作る方に時間も、力もかけた方が良いのだと思います。


「上品」でも「丁寧」でもなんでもよいのですが、言葉にすることとても陳腐です。
そういうのは、感じてもらうものでいう事じゃないよな・・・と思いつつ、言わないと自分が何を考え、どうなりたいかも伝わらないしなと思い、悩みつつも書いてみました。

松本さんの着るWORKERS

ルボナー の松本さんがWORKERSを着ていろいろとアップしてくれていましたので解説です。
ちなみに・・・松本さんとは親しいですがしっかりWORKERSはお買い上げいただいています。その分、私もボナーさんの製品は買います。
このあたりが、お互い、「本気で欲しい物じゃないと要らない」なわけで私にとっては企画するときの良い刺激になってます。(どうだ、こんな良い物出来たぞ!欲しいでしょ!って)


シャツはたぶんクラシックフィットのBD。オールドブルックスそのままの薄いオックスのシャツ。
ネクタイはニットタイ。これだけは還暦祝いでプレゼントしたものです。
中に着てるのはCruiser Vestのウールメルトン。ジャケットはツイードのKing Porter Jacket。
下はLot819のサテン。バックにタックがある、ジーンズのようで型紙自体はチノのそれ。

これはBDがデニムかな?ブラッシュドツイルかな?

そして、今度のマフラーも近日行くので納品しようかと思ったら「早く送ってくれ!」とネットで注文が入りました。
ベンタイルのブラックマウンパと。
ファスナー噛まないようにしてくださいね。

WORKERSは地味です。ぱっと見てわかる派手なディテールがあるわけじゃなし。
でも、その人自身の人柄をうまく伝えられる服には成っていると思います。
私自身がもうアラフォー。WORKERSを初めてあっという間の10年でした。作るものもどんどんベーシックに、着やすい物になり。それが良いのかわからない部分もありますが、自分が作るんだから、結局、自分自身の中から出てくるものを素直に出すしかない。
その結果をこうやって見せてもらえるとうれしい物です。

80年代



高校時代にYMOにはまって以来、もちろん各メンバーのYMO後、YMO前をいろいろ聞いてみました。

が、中々「これは!」とは成らず。もちろんはっぴいえんども聞きましたが、どっちかというと、HOSONO HOUSEからはらいそ、細野晴臣ソロのほうが良く聞いていました。毎晩のように東京ラッシュや恋は桃色からYMOそしてKRAFTWERKを聞く、あんまり明るく無い高校時代。

で、「そういえば、はっぴいえんどって一回だけ再結成してたよな」と思い検索すると音が!音が、もうシンセドラム+デジタルシンセ!&大滝詠一の唄い方というか、声がはっぴいえんどのそれじゃない。

うちのモデルも最近はっぴいえんどのオリジナルアルバムを聴いてるらしく、こっちを聴かせたら絶句してました。私はオリジナルよりもかっこいいと思うのだけど・・・

だからと言って、今これやってたらノスタルジーになってしまう。この時代のこの音。意味衣装から何からがすべて組み合わさってかっこいいんだろうなぁ。それは、QUEENの80年代のライブ見ても思う。

こういうの見ると、80年代って良いな~と思うけど、じゃぁ何聞くんだ?となると中々これはというのが見つからない。結局、YMO系に戻ってしまいます。


この2007年の横浜はたまたまチケットが当たって、人生初YMO。一曲目の以心電信ではこらえるも二曲目、スポーツマンで号泣。あれからもう、10年。高校時代から考えれば20年以上。人間、二十歳前ぐらいに人格形成されてしまうので当時の強烈な印象は消えそうにないです。

Organic Cotton Muffler

ごめんなさい!売り切れてしまいました。また機会を見て作ります(といっても、糸染めからなのでセーターやるときにです。)



やはりこの使い方がベーシック。ジャケットの上に巻いてコートを羽織る

ジャケットの中に入れるのはちょっと無理があるかも・・・
http://www.e-workers.net/store/spot/muffler/ia1.htm

お待たせいたしました、コットンマフラーの詳細をアップしました。
ポイントは、コットンならではのちくちくしない手触り&ネットに入れて水洗いできる扱いやすさ。

ただ、コットン糸はウール糸に比べると重い。そのため、厚くしすぎると重くなってしまいます。
このマフラー自体、編地を作って、それを二重にして出来上がりが20センチ幅。
なので、編む時に糸の本数をセーターより1本減らしています。

さらに・・・



縫い目というか、リンキングしているのは上の一辺だけ。他は縫い目の無い筒状です。
フクロ編みという状態で縦方向に縫い目の無い、筒状の物が編み上がります。さらに、編み始める時に止めを入れることで、下側の辺も縫い目無し。
つまり、上の図とは上下逆の状態で編み機から編みあがってきます。

で、最後に一辺だけ、ここも編み止めもすることはできるのですが、いくら機械で編むとは言え相手は糸。どうしても誤差が出るのでぴしっと皺無く作れない。そこで、あえて一辺だけは口が開いた状態で作り、最後にリンキングで始末しています。

縫い目が一辺しかないのでとてもフラット。首に巻いて、どこも折れるのに邪魔になる部分が無いのでしなやかに首に沿ってくれます。

Upcoming...


なんとか年内間に合いました!
詳細は明日アップします。

3月納品製品アップしました




http://www.e-workers.net/store/201703/top.htm

3月納品予定製品をアップしました。
新型のベスト。昨年好評だったウルトラライト裏毛・フットボールTの新色。
軍パンがベースにありながら、もっとシックに、どこれも着られるトラウザーズを目指したFWP Trousers。
それと、趣味で作り続けるワイドスプレッドシャツ。今年はギザの中でも最高級、126番双糸のガス焼き糸を使ったポプリンです。

兵庫の播州産地の生地。播州産地自体、比較的お手頃価格のシャツ生地が多いのですが、そんな中で「播州でできる最高級品」を目指したのが、今回使ったLegend Broad。

産地も行って、この生地を企画した人にも話を聞きました。
この手の生地なり、編地を作る人は強烈に「綿(ワタ)」そのものに嗜好があります。

Legend Broadを企画した人は完全にギザオタク。一口に「ギザ」と言っても、産地により、また品種により年々微妙に品質が変わります。(一般的に同じ畑・同じ品種で栽培を続けると繊維の長さは短くなると言われています)

スーピマとは違う、ギザ独特のぬめりというか手触りですね。これを維持するため、常にギザの中でも最適の綿、さらにそれを紡績出来る工場を探しているそうです。その綿や糸を数年単位で仕入れることで安定した品質、安定した価格にできている。確かに、普段使うオックスと比べればシャツに成った時も高いです。ただ、ある意味この品質を小ロットで作ろうとしたらもっともっと高価に成ってしまう。そこで、年単位の綿仕入なわけです。

このあたりは、WORKERSが云々というよりも、産地に行くと大きな仕組みを使って生地を作っている人が居て、それを探して探して、良い生地を仕入れてくるのがWORKERSの役目。そして、その仕入れた生地が生きる製品に成っていると思います。

会長のお話

会長 昭和7年1月生まれ!

現社長、会長さんの息子さんです。
さて、そんなSさんのお話です。
大正5年創業で創業100年、昔は着物の布を作られていたそうです。

ところが昭和18年、戦時中、金属供出があり織機が全部無くなりほぼ休止状態に。さらに、空襲もあり工場が焼け、戦後職布を再開するも、戦前の面影は遠く。

また、着物の需要自体が戦後は少なく、昭和29年ごろには地場の生地商社が相次いで倒産。織物産業がほとんど吹き飛んでしまったそうです。
会長が、家業に入ったのが戦後10年近く経ったちょうどその頃でした。

そこで会長は考えたそうです。「着物はダメだ・・・だったら・・・編地だ、ニットだ!」(この思い切りの良さ!)

Sさんは西東京にあります。その西東京の産地自体、着物織物がダメになり、さぁどうしよう・・・というので次なる地場産業として編み物に目を付けた。そこで、今も編み物の産地、墨田区から数人の職工さんに来てもらい、今でいう「技術移転」が行われたそうです。

そんなこともあり、会長24歳、昭和31年に編み物、当時は「メリヤス」と呼ばれた世界に飛びこまれたそうです。当然、最初はつてを頼って教えてもらいに行き丁稚から。当時は今のような自動編み機も無く、手横と呼ばれる、編み機を手で動かすところから。(今でも手横はわずかに技術・産業としては残っていますが)
セーターを作ったり、マフラーを作ったり・・・

その後、昭和40年、1965年に今のSさんが法人として開始。そこからもう50年。
手横から始まり、半自動編み機、丸編み機、さらには現代の島精機に代表される横編み機からホールガーメントまで、次々と設備投資をしてきたそうです。

WORKERSのニットタイに使っている丸編み機もそんな中で入れられた設備。会長は「たまたま丸編みのニットタイ作れない?って話があって設備を入れたんです」と言われますが、その思い切りの良さには本当に頭が下がります。
そして、その機械をずっとメンテナンスしながら使い続ける、物持ちの良さ。これがあったからこそ、私の作りたかった丸編みのニットタイが作れたのです。

その一方、今、工場の裏にずら~っと並んでいる最新機種達。いくつになっても、次々と設備を入れ、新しい物を作り続ける会長の意欲というか、元気さに私は感動しました。

工場に伺っても、うちのニットタイの話だけでなく
「舘野さん、それだけじゃなく、今年の流行なのかな?こんなものも作ってるんですよ!」
と次々と製品を見せてくれるのです。
これも、私に見せることですぐにどうこうしたいというのじゃなくて、せっかく来てくれたから私に何かアイデアを持って帰ってもらいたいという気持ちをすごく感じました。

「時々で、今年はこれはだめだな~、じゃぁこんなのはどうかな?って工夫するとそれが当たったり。」と、簡単に言われますが、60年やってきた人にしか言えない事だと思います。

う~ん、書いていて余りまとまりが無いのですが、何とも私は会長とお話ししてグッと来てしまいました。自分もこれからも長く、また会長のように思い切り良く、誰が来ても親切に対応するオープンな姿勢で仕事を続けていきたいなと、お会いするたびに思うのでした。

Silk Knit Tie Factory

念願かなって、ニットタイの工場見学に行ってきました。
都内某所・・・創業100年、ニット初めて50年の工場さんですが、これがすごい会社でした。
さっそく、そのニットタイを編む機械から。


小寸の丸編み機。靴下を編む機械を改造しているそうです。

さっそくご対面。丸編み機です。
実はニットタイ自体、この丸編み機で作る方法もあれば、横編み機 で作って、縦方向に縫う方法もあります。

WORKERSでは、どうしても縦方向に縫い目が無い丸編みがしたかったので無理言ってこの工場さん(Sさん)を探してもらいました。

実は、Sさんも小寸丸編みだけではなく、工場の奥に進むとずら~~~っと横編み機が並んでいます。そちらは、うちの商品は無いので遠慮して写真は取りませんでしたが、中々すごい台数が並んでいます。

なんで、そんなに私が横編み機にこだわるかと言えば・・・もともと、最初に使ったCADが編み機のメーカー、島精機だったのです。和歌山の島精機にも研修に行かせてもらい、その編み機の精密さ、自社で作ってる事、そして編み機のお値段にびっくりしたものです。

そんなお高い編み機を使って、しっかり横編みをやりつつ、でもこの小寸の丸編みもず~っと取っておいたSさん。実際、小寸丸編みのニットタイはほとんど注文が無い時期もあったそうです。それでも、メンテしながら機械を維持し続けた。今も、奈良に一台メンテに出しているそうです。


ニットタイの編みデータが読み込まれているところ。保存メディアはテープ!

編み機の後ろには糸が立っている。この糸もコットン、ウール、シルク、いろいろあります

こんな感じでつながって出来上がってきたものを切ります。

最終的に熱をかけてニットタイの形を安定させる時に使う型。編んでまつって終わりではないのでした。
ネクタイ自体はつながってできて着た物を切り、切った部分を手でまつる。さらに、熱をかけて形をフィックス(固定)するといった作業。
そして、Sさんのもう一つすごいのが糸。

シルクの色糸たち。もちろん、糸メーカーが作ってる物でなくSさんが別注で染めてる物。
生地にしろ、ニットにしろ作ってみるとわかるのですが、基本的に糸メーカー(紡績とよく呼びます)は白糸がメイン。
一部、色糸もありますが、ほんのわずか。特に、ニットタイ用の糸、それもシルクなんて言ったら作って在庫してる糸メーカーはありません。

じゃぁ、だれが在庫するの・・・と成った時に、気合で在庫してくれてるのがSさんなのです。糸染めのロットを考えれば、WORKERSで作る微々たる量ではとても染められません。こうやって、工場さん(ある意味、本来の意味でのメーカーはうちではなくこのSさん)がリスクを取ってくれるからこそ、我々ファブレスメーカーが自由に物を作ることが出来るのです。足向けて寝られません。


前にコットンセーターでも登場したリンキングミシン。
並んだ針に編み目を刺して、チェーンステッチで縫っていきます。
そして、Sさんの面白い所がもう一つ。
この縫製やっている方たち、文化などのニット科でた若い子達です。彼女達が、縫いがあるときは縫いをやりつつ、編みの組織を作る専門の機械(島精機のSDS-ONEというやつです)も使うのです。

これ、すさまじい事なんです。私も工場に居たのでわかりますが、いうなれば、縫製工場で普段はパターン作ってる人が、手が空いたら縫製もやってしまう・・・という事です。超多能工というか、普通では考えられない超効率化なのです。
工場で一番困るのが、作業者の手が空いてしまう事。
たとえば、平ミシンしか使えない人だとその仕事が無いときに困る。だから、他のミシンを使えるようになったり、最終的には全行程縫えるように・・・とそういう意味での多能工化はあるのですが、縫製と設計、これをまたいでやるというのは中々無いのです。
実際、作業する人達自体がそれを嫌うのもあるし。そういう、固定概念が無いSさん。
「編地の基本がわかっていれば編み組織は作れる。そのうえでさすが、若い子はリンキングミシンもすぐ覚えちゃうしね~」
なんておっしゃってましたが、やっぱり普通じゃないです。

知れば知るほど面白い、Sさん。次回、会長と社長に登場していただきます。

Silk Knit Tie, New Color, Dark Navy & Charcoal Grey


Workers Co., LTDさん(@workers_japan)が投稿した写真 -


一番右、新色のDark Navy
左から Black/ Navy / Dark Navy

一番右、新色のCharcoal Grey
左から Black/ Grey / Charcoal Grey
新色のニットタイが上がってきました。
これまた微妙な色なのですが、Dark NavyとCharcoal Grey。

最初に作ったネイビー、一番と言ってよい程人気で自分でもよくするのですが、もうちょっとくらいネイビーも欲しいなと思いDark Navyを。

Charcoal Greyはグレイとついていますが、どちらかというと黒の少し色あせた感じを目指した色。ブラックのニットタイ、かっこいいのですがちょっと色気がありすぎると時もある。そんな時に以前作ったラインナップは比較的明るい色が多く、黒じゃない何か・・・が無かったのです。そこで、Charcoal Greyを作ってみました。

結果、暗い所で並べてみると差が・・・でも、やっぱりネイビー系・グレイ系のダークトーンなので並べると違います。

色的に、春よりは秋・冬の色なので、このクリスマスのプレゼントに是非ご検討ください。

http://www.e-workers.net/store/201607/ih1.htm

そして、このニットタイが上がって来たタイミングでニットタイ屋さんの紹介を。お楽しみに。

Toolbagパズル



朝から工場さんから
「こんな感じで生地残るよ~」というメール。

何センチ幅ぐらいなのか聞いてるうちに「こうすれば、今作ってるL/Mに加えてSが作れる!」と気づきました。


思いもよらぬところで生地をつなぐのがポイント。
以前はSサイズも作っていて、女性からは「あのサイズがまた欲しい!」と良く言われるのですが、今使っている素材が別注6号。メーターあたりの値段も高く、一着あたりに使う生地のメーター数(要尺)も意外と多いので、最終製品が高くなってしまうので作っていませんでした。でも、この生地の使い方なら、Mサイズの残り+αで作れます。要尺が少なくなれば何とか、買いやすい金額で作れるかな?

さっそく、午後から工場行って作り方を説明してきます。
わかってしまえば単純なのですが、どこをどうつなぐかがポイントなので。

織り付け

上の色が薄い部分は糸を切り替えた所で下の濃い色が本番生地
17FW(来年の秋冬)の生地、「オリツケ」と呼ばれる、織機に乗っかって織りはじめた部分の断ち落としが確認用で上がってきました。

ぱっと見、普通のツイードですが・・・

平織?ヘリンボン?綾?

そう、幅なりの中で柄が切り替わっています。技術的には「ドビー」とか「ジャカード」使えばできるのだろうなとは思うのですが、実際織機がどういう動きをしているのか気に成る部分です。近々、尾張一宮の織布屋さんに行って見学してきます。

この生地、まだ織りあがったばかりなので巾は170以上あります。これを縮絨かけて縮め、密度と厚みを出していきます。当然、縮めれば縮めるほど生地としての値段は上がります。それでも、ツイードは厚みも密度も欲しいので、少しきつめの縮絨をかけてもらう相談も、一宮でしてきます。

ただ最近の気温差で風邪ひいたようで・・・今日は早めに終わりにしてシロに看病してもらいます。

カウンターで佇むシロ

本日の型紙・ECWCS Parka Mod

だんだん、バイク屋さんの「今日はここまでレストア進みました」みたいなブログ内容になってますが・・・ 今日作っていたのはECWCSのゴアテックスパーカーを元にした物。 このデザイン、たぶん元ネタはマーモットマウンテンワークスのこれかなと思います。

こちらのほうがECWCSのゴアテックスパーカーよりずっと前

元ネタというよりも、軍ものの開発自体、民間のメーカーがかかわってたんだろうなとも思います。確証はないですが。

で、これや軍ものを見ながら型紙を作っていて、前立て部分の巾の狭い身頃から続いたヒヨク仕様。これをやってみたかったのですが・・・

YKKのビスロンファスナー。これは10号、オリジナルは8号使ってます
このファスナーのテープ巾が足りない!
調べたのですが、どうやっても日本では軍ものに使われてる巾の広いテープの規格品が無い!そんな馬鹿な!と思って、近年作られたリプロものを見てみると・・・

縫い代、わずか2-3ミリ!テープ巾が狭いので無理やりやったのでしょうね・・・
やっぱり苦労してます。
ファスナーテープを広く表に露出させるため、縫込みを極端に浅くしてます。
テープが広く露出してないと、ファスナーも上げづらい&スナップを打つことが出来なくなってしまうのです。

ファスナーテープに何か別のテープをつけて延長するか?とも考えましたが、どう考えても本末転倒なので(品質は悪いわ、縫製に無駄な手間はかかるわ、見栄えは悪いわ)この仕様は諦めました。

という事で他の方法で型紙を・・・
午前中いっぱい、オリジナルの仕様にこだわってまったく前に進まなかったですが、何とか終了

当然、型紙だけではわからないので・・・


展開図&部分縫い。
前は、この後自分でとりあえず、縫製が上手いか下手かは別問題としてサンプルのサンプルを縫っていたのですが、今はその時間が無いので工場に頼みます。いわゆる「ファーストサンプル」というやつで、そこから間違いがあれば修正したり、シルエット修正もいれたりしてセカンドサンプルまで作ります。

物によってはファーストだけでOKのものもありますが、この品番は初物なのでファースト・セカンドとやります。


そして最後にパターンの形と、それをどの生地で裁断するかの一覧。
シャツやパンツのように生地の種類が少ない、パーツが少ない物は良いのですが、上物・裏付のようにパーツが多い物はこれがあると裁断がすごく楽です。

私自身、工場に勤めていたころは裁断のおっちゃんの横について
「はいこれ表」
「はいこれ裏」
「はいこれ袖裏」
「はいこれボア」
「はいこれ別布」
とやって、苦労したのを覚えています。
さすがに、5種類あったあの品番は今でも忘れません。あのときに「一覧があればな~」と思っていたので、何かやり方ないかな?と考え、パターンメイキングのソフトをプリントスクリーンして一覧にしてみました。裁断さんから好評のようで良かった。

と、こんな風にしてWORKERSの一日は過ぎていくのでした。