修正




ジーンズ作りもいよいよ佳境。
ファーストサンプルからのシルエット修正に入ります。

生地での縮率も取っては見ているものの、ジーンズになるとヨークはヨコ、帯はタテといったように生地の方向が違うので単純に生地縮率で計算通りというわけにはいきません。

そこで、まず大まかな計算からファーストサンプルを作り、そこから製品縮率を出して、さらに求める寸法やカーブに近づけていきます。


一つ一つの作業自体は「前中心をもう0.85出す」とか、「尻繰りの長さを0.6削って前・後ろのつながりを変える」とかそれほど難しいものでは無いのですが単純にフィッティングで気付いた部分だけでなく、実際型紙上で作業するとつじつまが合わなくなってくる部分もあります。
そういったところが無いように、前を出すと、後ろのここも出して・・・そうすると、この角度を変えないのか、それとも角度を変えても切り替え線をそのまま生かすのか・・・等々、頭がぐるぐるとまわり続けます。

縮率を出したり、そこから逆算してパターン寸を出したり。裾幅の前後を割合使ってみたりと、Excelにいろいろな数字を入力しながら寸法を出し、実際パターンで動かしてみて線がおかしくないか確認確認確認・・・

こういった作業も昔は手で行っていました。手でしていたからこそ、画面に変わっても「どう動かしたいか」「どう線をひきたいか」が直観的にわかります。

どうしてもCADは操作に癖があるので「直観的にこう動かしたい、それをするにはCAD上ではこうやる」という頭の中での翻訳が必要になります。

使い始めたころは東レのCADは正直直観性に欠けるなぁと思いましたが単純に慣れの問題で、今では手の代わりになってくれています。(逆に良く似たイラストレータを使うと混乱することが・・・)

ただ、この精密なパターン修正は作業までに緊張します。
間違えたら終わりな作業なので、一つ一つは簡単な事もそれが何重にも組み合わさると思わぬ落とし穴もあるからです。

それも、先ほどチェックが完璧に終わり、あとは縫製のチェックをして最終サンプルに入ります。

素材から始まりパターン、縫製まで、できる限り目を通して自分でできることは時間をかけて自分でしたジーンズ。もうすぐ完成です。

Weaving Denim, 織布







ついにWORKERSオリジナルデニムも最終工程、織布に入っています。
以前、プチ別注時代からお世話になっている井原の機屋さんに途中工程を確認&出来上がりの一反を引き取りに行ってきました。(写真のOKをもらっていたので1月の話です)


織機を操るKさんに開口一番「弱テンション言われたからしてるで!これ以上したら織りダン(傷)出るからぎりぎりな!」

工場の中は何台もの織り機があり、すごい音なので自然と大きな声になります。

さらに、目の前で自分の生地が織上がるのを見ながら質問。
「機械が織る」と言ってもその機械をコントロールするのは人間。

細かなノウハウがあり、その一つ一つを説明してくれます。
「私はこう思うからこうやってやる、でも他の職工さんはまた違う考え方ややり方があるかもしれない」
文章にはしづらい話なのでこの辺りは展示会でまた話します。


弱テンションについて・・・

これは推測ですが、我々が良いなと感じる昔のデニム、明らかに糸にムラがあります。
当然、生地を織るにはタテ糸にテンションをかます。ただ、糸にムラがあるのでどうしてもあまり強くテンションをかけると切れる恐れがある。そこで、ある程度テンションを弱めて織った、結果、織り工程でも生地表面に表情が出る方向性なのではないか・・・というものです。さらに、そもそもの織機の速度も遅いです。

同じセルビッジでももっと織機の回転数を上げ、テンションを強く、フラットな表面をしているものもあります。
これはもう、好みの問題なのでどちらが良い・悪いではありません。
単純に私があこがれてきた生地というのが、この弱テンションで織り上げた、生地表面・裏面にデコボコとと表情のあるものだったのです。

その後、社長も加わりできたての1反をもらって帰ってきました。

触った感触は「ザラザラ」
ただ、これは洗う前なので洗って果たしてどのような表情になるか、また楽しみです。

襟型/型紙/縫製と総合力


15FWでまた新しい襟型を考えています。
イメージは90年代初頭ぐらいのDCっぽい、少し小さめの羽襟。

羽襟は外回りの寸法が不足すると落ち着きが悪くなるので展開します。(上が数ミリですが展開したもの)

ただ、単純に落ち着きが良い、収まりが良いばかりを追っているとそのもの本来が持つ雰囲気をなくしてしまうことがあります。

今回も、単純に落ち着きだけ考えると上の型の方が良いのですが、羽襟周りから襟先に向けてのシャープさを考えると下の方がイメージに近い。

もし、この外回り寸法をキープし羽襟の幅をキープすると今度は台襟とくっつく側の線を変えなければいけない・・・

といったように、シャツは数ミリの違い、ちょっとした線の違いで大きく印象が変わります。
また寸法自体も精密に作らないとくっつかなくなってしまいます。(ここで言えば羽襟と台襟、台襟と身頃)

パーツ数も少ないので簡単そうに見えますが、気を使うという意味では結局、アウターであろうとシャツであろうとパンツであろうと、その勘所が違うだけで同じこと。


私は洋服を作るうえで基本がパターン(一番という意味ではなく)、そしてそのパターンをできる限り自分が作りたいイメージに近く引くには寸法という考え方も必要だし、立体裁断や仮縫いといった立体的な考え方も大事だと思います。

また、パターンは縫製の方法によっても曲線の形など制約を受けます。


私も服を作り始めたころは、自分で型紙をひくことに悩んだ時がありました。
企画もする、縫製もする、そして型紙も・・・となると、それぞれにかけられる時間は単純に考えて1/3になります。これだと器用貧乏というか、それぞれを極められないのではないかと。

確かに、今でもそれぞれを極めることはできていないと思いますがそれぞれを極める以上に私が大事だと思うのは、その総合力です。
型紙をひくほど、そして縫ってみれば見るほどわかったのはそれぞれが密接に関係しているということです。

よく、工場にいたころ縫い場の人が「このパターンは縫った事無い人がひいたパターンでこのままでは縫えない」「と言っていました。最初の頃は意味がわかりませんでしたが、自分でもいろいろ縫ってみるうちに「このミシンを使って、こういう縫い方をしたいならこの線は縫えない」と経験則でわかるようになってきました。

そうなると、型紙が一番とも縫製が一番とも、優劣はつけられず、すべての総合力が最終的な製品をイメージに近いものにする一番大事な事なのだと思います。

素材にかける


そろそろ作りたい部品も大方作ったかな・・・と思いつつまだまだ作ります。

WORKERS刻印のボタン。ちょうど、以前作ったボタンも減ってきて、せっかく「WOREKRS」も商標登録したことなので良い機会とボタンワークスさんに刻印ボタンを作ってもらいました。
う~ん、かっこいい。このボタンをつけたワークシャツ&豪華絢爛ネルシャツ作成予定です。

そしてその後ろにあるのはリブ、そう、MA-1やL-2、タンカースなどで使われる輪編みのリブです。
久しぶりに輪編みのリブを別注しました。

以前作ってもらっていた工場が廃業されたので別の工場さんへお願いしました。
どうしても、輪編みのリブは機械をそれ専用にセッティングするのである程度ロットが必要です。
また、この数年で原料価格も上がり。正直、3月末決算なのに量産は4月以降・・・このリブは在庫になるので一番きついパターンなのですが、やはり、どうしても輪編みにしたかったのでお願いしました。

工場さんとの間に入ってくれる業者さんもとても親切で、先を見越してウールだけでなくコットンでの試し編みもしてくれたり助かりました。

このリブはショート丈のジャケットで使用予定です。まだ先の話ですが、今後もWORKERSの製品にご期待ください。

Ventile, Weather Comfort Jacket


POST78さんが良い組み合わせをしてくれていたので。

http://www.post78.net/

Ventileのアウター、あえて裏地を薄め、シルエットもゆったり目で作っています。
冬は中にシャツ+厚手のニッや シャツ+薄手ニット+ジャケットが着られるように。

春にはインナーをシャツ+スウェット系、シャツ+カットソー(ロンTとか)から始まり、最後はシャツ1枚まで対応できます。

暖かい裏地がついた冬限定のアウターも良いのですが、シェルとしての役割に徹しているのがVentileのシリーズです。

Indigo Discharge SS Shirt, Shorts








http://www.e-workers.net/store/201505/top.htm

2月受注/5月納品予定製品、アップしました。
前から作ってみたかった、抜染生地を使ったショーツ。

生地が薄いので難しいと思っていたのですが、裏地を抱かせて厚み・強度を出したらどうかと思い試してみると・・・ばっちりです。
厚すぎず、また、二枚生地があるので独特のふわふわした風合い。
ベルトをしなくてもはけるようドローコードもウェストに入れています。






バッグはもともとツールバッグをもう少し使い勝手良くトートにから始まりました。
ただ、底に当てる生地が色がほしい、そうなると8号でないと色が無い。

いざ作ってみるとそのままでは生地の固さが足らず物が入っていない状態では立ちづらい。
その時、ふと脇のステッチを見ていて「この上部が開いていて、樹脂で骨のような物を入れたらどうか?」と考え付きました。
だいぶ前、HAVERSACKの背中に骨を入れたのと同じ考え方です。

さっそくやってみたのですが、白いトート、洗うこともあるだろうと洗濯・乾燥してみると樹脂が微妙に曲がります。
HAVERSACKの場合、横に骨を使っていたので多少曲がっても体にそうように曲がるのでかえって都合がよかったのですが、縦に使うとなると曲がってもらっては困る。

そこで次に考えたのが硬いテープ状の物をあらかじめ縫いこむ。
ただ、持ち手のテープではまだ硬さが足りず、別の物を用意。

それも、最初は中にすっぽり隠れるように縫いこんでみたり、脇からちらっと見える位置に縫いこんだり。
結果、少し見える位置が一番硬い、また縫製も安定しているので採用しました。

画像はそのテープそのもの。これが脇に縫いこんであります。