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会長のお話

会長 昭和7年1月生まれ!

現社長、会長さんの息子さんです。
さて、そんなSさんのお話です。
大正5年創業で創業100年、昔は着物の布を作られていたそうです。

ところが昭和18年、戦時中、金属供出があり織機が全部無くなりほぼ休止状態に。さらに、空襲もあり工場が焼け、戦後職布を再開するも、戦前の面影は遠く。

また、着物の需要自体が戦後は少なく、昭和29年ごろには地場の生地商社が相次いで倒産。織物産業がほとんど吹き飛んでしまったそうです。
会長が、家業に入ったのが戦後10年近く経ったちょうどその頃でした。

そこで会長は考えたそうです。「着物はダメだ・・・だったら・・・編地だ、ニットだ!」(この思い切りの良さ!)

Sさんは西東京にあります。その西東京の産地自体、着物織物がダメになり、さぁどうしよう・・・というので次なる地場産業として編み物に目を付けた。そこで、今も編み物の産地、墨田区から数人の職工さんに来てもらい、今でいう「技術移転」が行われたそうです。

そんなこともあり、会長24歳、昭和31年に編み物、当時は「メリヤス」と呼ばれた世界に飛びこまれたそうです。当然、最初はつてを頼って教えてもらいに行き丁稚から。当時は今のような自動編み機も無く、手横と呼ばれる、編み機を手で動かすところから。(今でも手横はわずかに技術・産業としては残っていますが)
セーターを作ったり、マフラーを作ったり・・・

その後、昭和40年、1965年に今のSさんが法人として開始。そこからもう50年。
手横から始まり、半自動編み機、丸編み機、さらには現代の島精機に代表される横編み機からホールガーメントまで、次々と設備投資をしてきたそうです。

WORKERSのニットタイに使っている丸編み機もそんな中で入れられた設備。会長は「たまたま丸編みのニットタイ作れない?って話があって設備を入れたんです」と言われますが、その思い切りの良さには本当に頭が下がります。
そして、その機械をずっとメンテナンスしながら使い続ける、物持ちの良さ。これがあったからこそ、私の作りたかった丸編みのニットタイが作れたのです。

その一方、今、工場の裏にずら~っと並んでいる最新機種達。いくつになっても、次々と設備を入れ、新しい物を作り続ける会長の意欲というか、元気さに私は感動しました。

工場に伺っても、うちのニットタイの話だけでなく
「舘野さん、それだけじゃなく、今年の流行なのかな?こんなものも作ってるんですよ!」
と次々と製品を見せてくれるのです。
これも、私に見せることですぐにどうこうしたいというのじゃなくて、せっかく来てくれたから私に何かアイデアを持って帰ってもらいたいという気持ちをすごく感じました。

「時々で、今年はこれはだめだな~、じゃぁこんなのはどうかな?って工夫するとそれが当たったり。」と、簡単に言われますが、60年やってきた人にしか言えない事だと思います。

う~ん、書いていて余りまとまりが無いのですが、何とも私は会長とお話ししてグッと来てしまいました。自分もこれからも長く、また会長のように思い切り良く、誰が来ても親切に対応するオープンな姿勢で仕事を続けていきたいなと、お会いするたびに思うのでした。

Silk Knit Tie Factory

念願かなって、ニットタイの工場見学に行ってきました。
都内某所・・・創業100年、ニット初めて50年の工場さんですが、これがすごい会社でした。
さっそく、そのニットタイを編む機械から。


小寸の丸編み機。靴下を編む機械を改造しているそうです。

さっそくご対面。丸編み機です。
実はニットタイ自体、この丸編み機で作る方法もあれば、横編み機 で作って、縦方向に縫う方法もあります。

WORKERSでは、どうしても縦方向に縫い目が無い丸編みがしたかったので無理言ってこの工場さん(Sさん)を探してもらいました。

実は、Sさんも小寸丸編みだけではなく、工場の奥に進むとずら~~~っと横編み機が並んでいます。そちらは、うちの商品は無いので遠慮して写真は取りませんでしたが、中々すごい台数が並んでいます。

なんで、そんなに私が横編み機にこだわるかと言えば・・・もともと、最初に使ったCADが編み機のメーカー、島精機だったのです。和歌山の島精機にも研修に行かせてもらい、その編み機の精密さ、自社で作ってる事、そして編み機のお値段にびっくりしたものです。

そんなお高い編み機を使って、しっかり横編みをやりつつ、でもこの小寸の丸編みもず~っと取っておいたSさん。実際、小寸丸編みのニットタイはほとんど注文が無い時期もあったそうです。それでも、メンテしながら機械を維持し続けた。今も、奈良に一台メンテに出しているそうです。


ニットタイの編みデータが読み込まれているところ。保存メディアはテープ!

編み機の後ろには糸が立っている。この糸もコットン、ウール、シルク、いろいろあります

こんな感じでつながって出来上がってきたものを切ります。

最終的に熱をかけてニットタイの形を安定させる時に使う型。編んでまつって終わりではないのでした。
ネクタイ自体はつながってできて着た物を切り、切った部分を手でまつる。さらに、熱をかけて形をフィックス(固定)するといった作業。
そして、Sさんのもう一つすごいのが糸。

シルクの色糸たち。もちろん、糸メーカーが作ってる物でなくSさんが別注で染めてる物。
生地にしろ、ニットにしろ作ってみるとわかるのですが、基本的に糸メーカー(紡績とよく呼びます)は白糸がメイン。
一部、色糸もありますが、ほんのわずか。特に、ニットタイ用の糸、それもシルクなんて言ったら作って在庫してる糸メーカーはありません。

じゃぁ、だれが在庫するの・・・と成った時に、気合で在庫してくれてるのがSさんなのです。糸染めのロットを考えれば、WORKERSで作る微々たる量ではとても染められません。こうやって、工場さん(ある意味、本来の意味でのメーカーはうちではなくこのSさん)がリスクを取ってくれるからこそ、我々ファブレスメーカーが自由に物を作ることが出来るのです。足向けて寝られません。


前にコットンセーターでも登場したリンキングミシン。
並んだ針に編み目を刺して、チェーンステッチで縫っていきます。
そして、Sさんの面白い所がもう一つ。
この縫製やっている方たち、文化などのニット科でた若い子達です。彼女達が、縫いがあるときは縫いをやりつつ、編みの組織を作る専門の機械(島精機のSDS-ONEというやつです)も使うのです。

これ、すさまじい事なんです。私も工場に居たのでわかりますが、いうなれば、縫製工場で普段はパターン作ってる人が、手が空いたら縫製もやってしまう・・・という事です。超多能工というか、普通では考えられない超効率化なのです。
工場で一番困るのが、作業者の手が空いてしまう事。
たとえば、平ミシンしか使えない人だとその仕事が無いときに困る。だから、他のミシンを使えるようになったり、最終的には全行程縫えるように・・・とそういう意味での多能工化はあるのですが、縫製と設計、これをまたいでやるというのは中々無いのです。
実際、作業する人達自体がそれを嫌うのもあるし。そういう、固定概念が無いSさん。
「編地の基本がわかっていれば編み組織は作れる。そのうえでさすが、若い子はリンキングミシンもすぐ覚えちゃうしね~」
なんておっしゃってましたが、やっぱり普通じゃないです。

知れば知るほど面白い、Sさん。次回、会長と社長に登場していただきます。

Mills 機屋 二件目

お次は、WORKERSのチノ生地のキバタ(染めたり、防縮加工したりする前のベース)を織っている機屋さんへ。


ちょうど、織りあがった生地が徐々にたまっています。
これが「折反」と呼ばれる、染めに行く前の状態。
ここでも、綺麗に折っておかないと、後後染めの時にムラになってしまいます。
なので、ミルフィーユのように綺麗にたたまれています。



さっそく織機とご対面。
社長さん曰く「織機のほぼ限界の本数を打ちこんでいる」そうです。
タテもヨコも、あれだけ打ち込むからこそしっかりとして、強度のある綾織生地(チノ)になるわけです。


ご覧のとおり、この機屋さんは白生地だけ。そうすることで、色糸が混ざりこむのを防いでいます。

手前の左側、ヨコ糸の供給部分があります。これが二つあるのも理由が。
常識的に考えれば、ヨコ糸は一つ、それが無くなったら次、となりそうなものですが、実際には二本の糸を交互に打っています。

というのも同じ白糸と言えど、その白さは微妙に違うそうです。
これを、そのまま一本づつヨコ糸として使うと、糸が変わった瞬間、微妙にベースの白生地の色が変わる。さらに、それが染めるといよいよ色の違いとしてわかってしまう。

そこで、ヨコ糸を複数用意して、それを順番に打つ事でできる限り色が平均的になるようにしています。


ここで思い出すのが、デニムのタテ糸をロープ染色した後に「分繊」と呼ばれる、色を平均化する工程。

ロープ染色した糸を色が均一になるよう、分けながらビームという織機にのる軸に巻いていく作業。これはカイハラさんで今回の工場さんとは別です。
考え方としては、この分繊と同じように、一本の糸をそのまま使わず、バランス良く複数使うことで、白生地と言えど、色を平均化していきます。


工場の端には、WORKERSのデニムに使う別注糸も作ってもらっている山忠さんの箱が!
付き合いのある工場さんの材料があったりすると、妙にうれしいのです。
工場さんにしてみれば「君が生まれる前から付き合いあるんだけどね」とかいう話なのですが。


完成した生地は検査にかかります。
この検査が、かなりゆっくり、本当に目でしっかり見て行われています。
どことは言いませんが、すさまじい早さで検査するところもあり、正直見てるの?と思うこともありました。(その工場さんの生地はWORKERSでは使っていませんのでご安心を)

その点、この工場さんは本当にしっかりしています。
「織キズや色ムラ、めったにないでしょ?」と言われましたが、確かに、あの生地は本当に不良が少ないのです。

使わせてもらっている側は「あれ、良い生地だよね、B少なくて」の一言で終わりですが、実際、製造している側はそのために織機を調整して、糸の打ち込みを工夫して、検査も時間かけて・・・と、いろいろ工夫してくれているのです。
だからこそ、WORKERSで製品を作るときはそういう生地が生きるような、良い企画を考えないといけないのだよなと、身が引き締まりつつプレッシャーも感じます。



最後が折る作業。
これも機械がやるとはいえ、最初の折り始めは特に注意が必要で、この時も折れそうに成るのを微調整して、それから折はじめ。
さらに、折っている最中も、曲がってまた変な折り目がつかないよう、ずっとつきっきりで人が見ています。

機械に手伝ってもらうとはいえ、やはりここでも人の目、手、そして少しでも良い物を作ろうという最後は「意識」が働いています。


意識はこれを見れば一発でわかります。
そんな意識に負けない、良い企画を考えていきます。

Mills 機屋

先日、現在進行中のチノ(Workers Officer Trousersでおなじみ)と、17SSの生地を探しに井原方面へ行ってきました。

岡山でも広島との県境。私が、今の仕事場の場所を決めた理由の一つが、井原へのアクセス。児島からだと1.5時間近くかかるのですが、WORKERSからだと1時間弱。
逆に、児島へも1時間弱。

南は児島、北は津山。東・・・はあまりいかないのですが、西は福山あたり。このあたりまで1時間少々でいける、ある意味真ん中なのです。


緯糸(ヨコ糸)は複数かかるようになっています。広幅織機なので、シャトルは無く、エア(空気)等を使って緯糸が走ります。
他にも写真を撮ったのですが、ことごとく公開NGでこの機屋さんはこれだけです。



一件目は、経糸インディゴ系の機屋さん。
そう、一口に「機屋」と言っても、インディゴ系と白糸系は建物が別だったり、そもそも会社自体が別だったり。

というのも、生地を作る作業はどうしても綿がある程度は飛びます。
出来る限り飛ばないようにはしても、完全に0にはなりません。

そんな時に、横で白生地を織っていると、わずかなインディゴの色がついた埃でも不良品になってしまうからです。

この工場さんでは、来春夏に使うシャンブレー、少し厚手の物を探しあてました。
いつもつかう5オンスよりは厚い、でも10オンスまで行くと厚すぎる、その合間で、また色合いも「こういったもの」と探していたのですが、さすがインディゴ染めメインの生地屋さん。色のトーン、厚みも様々に作ってくれています。
このあたりは餅は餅屋、という世界です。

企画メーカーとしては、こうやっていろいろな現場を見せていただいて「ここはこういうものが得意だな」というノウハウを蓄積していきます。
これが、次の企画の時に「こんな生地・・・そうだ、あそこだ!」と、ある程度アタリをつけて生地を探せるわけです。また、そうやって探しているうちにその生地屋・機屋さんから「これを少し変えてこうしてみたんだけど」といった事もあります。
こういった、コミュニケーションから最終的に「WORKERS」として作る製品がブラッシュアップされていきます。

リンキング・ニットの縫製

編立の終わった各パーツは「リンキング」と呼ばれる縫い合わせの工程に移ります。

「成形物」ニットの特徴で、目をひろい、お互いのパーツを環縫いで縫い合わせます。裏にロックが見えないので綺麗、また縫い代がとても薄い(1目や2目分)ので、着た時にごろつきが少ない。その代り、縫い合わせにとても時間がかかる。では、その時間がかかるのはなぜかというと・・・




典型的な丸型のリンキング機。ずらりと並んだ針に、人間が一目・一目二枚の部品を合わせます。実際に縫っているところはこの後動画で・・・

リンキングというとこの丸型だけかと思いましたが、縦型というかまっすぐ針が並んだものもあります。




この針の間隔、縫う時の目数がゲージによりセッティングが違います。
いちいち、その都度調整して、というわけにも中々いかないのでそれぞれのゲージに合わせて工場には何台ものリンキング機が所せましと並んでいます。
このあたり、同じ巻き縫いでもゲージ(針幅)が違えば何台も必要というのと似た世界です。


縫いあがったらすぐに寸法チェック。今回、あえてこの前Vだけ裁断+縫製というリンキングとは違う手法を使っています。設計段階で目数を合わせて作ってあったものがここでずれてしまうのでは?と心配したのですが、そこはさすがの技術でした。



小さな印が見えるでしょうか?これが目数を数えて「ここ!」という位置に入れた印なのです。V部分を縫う段階でもこの印を合わせ、さらに襟のリブをつける時も印を合わせてリンキング機の針に刺していく。
もう本当に、人間の目と、手と、どこまで正確にできるかという世界です。

でも、ここまで丁寧に、精密な仕事はしていてもおばちゃんたちはみなとても謙虚というか、まっすぐというか。
やはり仕事柄、他のセーターも良く見るそうで、「中国製でもとてもきれいに縫えてる物もたくさんある」と、あくまで技術を見ているのです。
「MADE IN JAPANの職人技だ」なんて、本当に精緻で、地道な仕事をしている人は言わないのです。
どこの国で、だれが作っていようと綺麗にできているものは出来ていると、きちっと評価する。そのうえで、そんな製品に負けないよう、目の前の仕事に向き合う。
私はこういう工場の人が大好きです。

では、リンキングを実際に動画で



リンキング from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.



丸型リンキング・縦型リンキング、最後が編みだし部分を取っているところです。
編立時についていた編みだし部分は、縫製後に取ります。


リブの継ぎ目はどうするかというと、この長さだとリンキング機にはかからないので手縫いになります。

さらにネームも手縫いでつけ、最終、洗い・検品・仕上げへ。これでやっと、WORKERSのニットの完成です。

ニットの編立

では、いきなり製品作りに行く前にニットの種類について。
今回、WORKERSで作るニットは「成形物」とか「リンキングニット」と呼ばれる物に、前Vのみ「裁断物」の要素を組み合わせたもの。

編み物を前身頃・後ろ身頃・襟・前V部分と分けて作ります。
これを、前Vのみ地縫い+オーバー+倒しステッチ。
それ以外をすべて「リンキング」という編地を環縫いで縫いつける方法で作ります。今回は、まずその編地つくりから。



これが「横編機」。以前、スウェットやTシャツを作った時の「丸編み機」とは形が違います。あちらは同じ編地でも、生地が筒状に出てきますが、こちらは平らな状態で出来上がります。

横編機と言えばおなじみ、島精機。実は、私も以前の職場では島精機のCADを使っていたので懐かしいメーカーさんなのです。会社が和歌山にあり、研修に行った時も周りにはイタリア、インド、いろいろな国から来た人たちが編地を作る為の研修を受けていました。余談はさておき、こんな風に動きます。



WORKERS Knit from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.


左右に行ったり来たりする部分、ここが給糸部分を持って走って行って、編み針で編む。そして、下に出てくるという流れです。
肝心な編んでいる部分は給糸部分がかぶさってわからくなるので止まった状態で。


これが給糸部分。左から糸が2本、右から1本、合計3本を引き揃えて編んでいきます。


先ほどの左の部分に糸を供給している部分。
2本どりが2つ。というのも、給糸部が2つあるため、2本×2箇所分。
さらに、その奥に「編みだし」と呼ばれる、編み目の最初の部分を作る為の別糸(この時は白)が入っています。



こちらは先ほどと逆側。給糸部でいうと、右側に糸を送り出している部分。
こちらは1本×2箇所分。


編んでいる部分は給糸部が上に重なってしまって見えないので、一度編み機を止めてくれているAさん。


模擬的に編み針が出た状態。糸をこの編み針がひっかけて編地にしていきます。横に並んだ針の数がゲージ。1インチあたりの編み目の数になります。



針は単体で見るとこのような形をしています。この先のフックの部分に糸をひっかけて編みます。当然、ゲージが高い(目が細かい)場合、細い針が必要になる。細い針に成ればなるほど、太い糸はかからなくなる。

私が現代のニットを見て「高ゲージ過ぎて華奢に見える」と感じた部分はこのあたりにあるのかもしれません。今回私がお願いした工場さんのこの編み機は14ゲージ。1インチあたりの編み目は14目。さらに度詰めもしています。
つまり、横方向は針の数で編み目の数は決まっているので、縦方向のループを小さくすることで目を細かく、厚みのある編地にしているのです。当然、その分糸量は増えるので若干重く、また原材料も多く使うので価格も上がりますが、洗ってもそう簡単にはへこたれないニットを作る為にどうしても必要な部分です。


で、1パーツ。袖が出来上がったところ。縫製後に洗いがあるので、これよりさらに目が詰まります。そのあたりもサンプル時の仕上がりを計算に入れて編み目の設計をしています。

下の方にある白糸が編みだし部分。編みはじめは編み目が安定しないので、別糸で少し編んで、安定してから本番の糸に変えます。ちょうど、縫い物をするときに、最初に調子布といって仮の布で少し縫ってから、本番を縫い始めるのに似ています。

デニム織布

WORKERSデニムの次ロットが週末から織りに入るのでまた打ち合わせに井原まで。
井原というのが、WORKERSの職場からだいたい1時間ほど。
デニム生地の織布を中心とした工程があつまり、生地コンバーターさん(企画をする生地メーカーさん)も多くあります。




で、今回の打ち合わせは織機を動かしているKさんにジーンズ渡す事。
それと、次ロットでほんの少しだけタテ・ヨコのテンションをファーストロットよりもかけてみる事。

綿(ワタ)・糸・染めは全く同じ。ファーストロットは超弱テンション、織りキズが出来るギリギリで織ってもらいました。生地表面の凸凹はマックス。伸び縮みも非常に激しい。洗濯を繰り返すと、繊維がしまって来るのですがそれまでは本当に「糸そのもの・綿そのもの」の風合いが表面から感じられます。

あれも良いのですが、今度はもう少し、ぎちっと締まった風合いも兼ね備えてみたい。そこでテンションの話です。

まずは緯(ヨコ)糸。ご存じ「シャットル」と呼ばれる物。これも種類がいろいろあるのですが、このタイプは糸の横についている毛羽。これの向き&先に出ていく部分。ここの糸の通し方で微妙にテンションを変える。
ちなみに、WORKERSの生地を織る織機もこのタイプ。


また別タイプは先にこのような金具がついているものあり、これはネジを締める事でテンションを調節するタイプ。


そして、経(タテ)糸。タテは、このあたりの部品をいじって・・・



WORKERS Denim Mill from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.


ここの部品の動き具合。それと、織機の表側に回って実際、織りあがった糸の張り具合を手で確かめる。

Kさんは、毎度おなじみ「どうやって説明するかな~」なんて言いながら、細かく教えてくれるのですが、具体的にはさっぱりです。

織機も、種類が違えばこのテンションのかけ方も違う。同じ種類の織機ですら、同じように部品を組んでも同じテンションにはならない。
何かゲージとかデジタルの数値が出るわけでなく、全部動き具合と手加減の世界。

そもそも、糸も毎回微妙に違う。同じ規格であっても、シーズンが変われば違うし、時期によっても違う。
こうなってくると、単純に「テンションは何々キロで」とか決められるものでは無いのです。

そんなとき、私が考えるのは
「WORKERSはどんなものが作りたいのか」
「最初作ったのはこんなものだった。次は、それを同じにしたいのか、少し何か変えてみたいのか」

そういったことを理解してくれて、微調整してもらえる人。それがKさんであり、この機場の社長、Oさんなのです。毎度行って、今度のはこんなだった。穿いてみてこんなことを感じた。だからこうしたい。
そうかそうか、WORKERSだからこれが良いんだよなという事になるのです。

私が出来る限り工場へ行く、その時は製品を持っていくし、場合によっては現物を渡して工場の人にも使ってもらうのはこのためです。自分で使ってもらえば、その良し悪し、いろいろなポイントを感じてもらえる、一緒に考えてもらえる。

結局「アパレルメーカー」とか「ブランド」なんて言いますが、物を作るのは紡績であり、染色、織布、仕上げ、縫製とすべて工場です。
スペック、仕様書、ターゲットになる古着等々。これらがあっても、最後の最後は「WORKERSのあいつは何をしたいんだっけ」と感じてもらえる、考えてもらえる姿勢が必要です。

元々は「もっと作業工程を知りたい」とか、単純に楽しくて工場へばかり行っていたのですが、今ではそれが自分の物作りにも少しは反映されているかな?と感じるようになってきました。

という事で、今週はさらに某所のニッティング工場へ、片道4時間の旅に行ってきます。

2016SSサンプル作成中/太ピッチボーダー


先日、カットソーをお願いしている名古屋の工場さんへ16SSで作っているボーダーの編立を確認しに行ってきました。「確認」といっても、自分で作り方がわかるわけもなく、見学ですが。

太ピッチの場合、切替機がついていないと作れないのだ!と言われていて、機械の形自体が違うのか???と思い行ってみると・・・



編み機自体は、毎度おなじみの丸編み機の形をしています。
立てている糸が手前にホワイト、奥にネイビーがあるのがわかります。
これが、所定の位置で切り替わってボーダーに成っていきます。



この何とも言えない、どこかアナログチックなボックスが切り替えをしてくれています。実際、編んでいるところを見ていると、ざ~~~っとホワイトの糸が供給され、ストップ、次にネイビーがざ~~~っと言う動きをしています。



ただ、今回編み機以上に関心したのは糸を「割る」という作業。
紡績(糸を作る)メーカーから来た状態が上にある状態。非常に大きくこのままでは編み機にかけることができません。
そこで、糸を「割る」という作業をしているのがこの写真。
要するに、糸を巻きなおす作業。たとえば、編み機に48本糸を立てる場合、そもそもケースで来た糸がそれほど本数が無いとか、ボーダーのピッチによって、色糸ごとに必要量が変わればそれにしたがって糸を巻きなおしたり。

今回行った編み工場さんは、元々この糸を割る仕事から始められたそうで、このような設備があります。

編み工場さんと、割り工場さんは分業していることも多いのですが、今回の工場さんはそれが一か所。
何より、自分が割った糸でその後編むわけですから、安定して編みやすい工夫を。さらに、糸も最後の編み上がりに残りが無いよう、細かな計算をして割るそうです。

もちろん、きちっとした指示書をつければ、分業していても良い仕事ではあるのです。あるのですが、やはり、自分で編立までするのだと思えばいろいろと気を使う。そんな部分の一つが・・・



このワックス。ブルーの丸い物がワックス。
編みをするときに、糸そのままでは毛羽が立ちます。毛羽が立てば糸が切れる恐れもあるし、飛び込みと言って編んでいる部分に別の色の毛羽が飛び込んでしまうこともあります。

そこで、ワックスをかけ毛羽を抑えてから編みます。このワックスも種類があり、かけ方一つもいろいろセッティングがあります。その良し悪しで、後の編立の時にどの程度安定して編み上げられるかが変わってきます。
自社で糸を割り、編むからこそ、編みで起きたことのフィードバックがすぐに割りにも反映して工夫が出来る。そこが強みだねと言われていました。

WORKERSもパターンを自社で取り込んでいる理由がそこにあります。
外注に出してしまえば、コストは一定。機械の維持費、人件費もかからない。
でも、自社でやるからこそ、作りたい形・それを現実縫える型紙にする。この二つがせめぎあい、工場からの縫える・縫えないといったフィードバックもすぐに型紙に反映させられるのです。


From Cotton to Jeans, part 6

裁断・耳揃え




セルビッジジーンズ裁断の特徴は「耳揃え」という作業にある。写真は片側の耳を揃えて生地を配反(はいたん)し、型打ち図を上に乗せ裁断機を入れた所。生地はほぼ85-6センチ程度の幅だが、1反づつ数ミリは違いがある。その為、半身を切り終えてもう一度耳を揃え直し逆側の身頃を裁断していく。

巻き・帯付け・裾巻き




ジーンズ縫製の特徴はそれぞれの工程に専用ミシンがあること。ここでは巻き縫いと帯付けを紹介。本来、生産効率を上げるため工程ごとの専用ミシンや金具を使ったのが、ある意味「ジーンズらしさ」を生むパッカリングの源になっている。どちらのミシンも環縫いなので、下糸をボビンに巻かない。ボビンごとに糸を巻く必要が無い。



これぞ、本当に「そこしか縫えないミシン」裾上げ専用ミシン、ユニオンスペシャルの432。ジーンズ好きな方にはおなじみの形。ただ、このミシンがすべてにおいて万能ということはなく、素材によっては別形状のミシンを使う場合もある。ミシンの選定は素材に合わせて行う。

特殊




カン止め。これも現代では「オートベルター」というループを指定の長さにカットして、折って、カン止めで止めるミシンもあるのだが、今回はクラシックなループのつけ方をしているので通常のカン止めミシンで一つづつ。ボタン打ちはレーザーポインタで場所を定めて打つ。