年末のご挨拶

一座高うはござりまするが、年末のご挨拶を申し上げ奉りまする。

本年は念願であった綿からのオリジナルジーンズに始まり、初の製品であるニットまで作成いたす運びと相成りましてござりまする。これも一重に、ご高覧、ご支持をいただけるお客様方。また、弊社製品をお取扱いいただける卸先様の御威光の賜物と存じ上げ奉りまする。

と、口上調は疲れたのでこので。
最近、子母澤寛の新撰組関係の本を読んでいたので、文語調というか、候とか奉りまするが多いこと多い事。ただ、口上はまたちょっと違うというか。こういうのをすらすら書けた、言えた日本人ってすごいよなぁと思うのです。無駄話はさておき・・・

今年もよく働いてくれたパターンの穴あけ


年末も変わらず仕事はしていますが、一応今日が仕事納め。
ただ、家でも特別することはないので31日まで仕事場にはおります。
趣味を仕事にしてしまった大変さ・・・よりはやはり、私の場合楽しさの方が勝ります。

来年はニットの糸つくりや染め。さらに機会があれば、オーガニックコットンの産地インドへも行ってみたいです。マドラスもインド産なので、輸入商社さんに「そのうち行くから現地駐在員さんにアテンドよろしくお願いします!」と頼んであるので、それと綿と両方見られれば最高です。

2016秋冬から登場するチノの新色ビーカー

皆様におかれましては今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、また末永くWORKERSをご贔屓頂き、お見捨て無きようお願い申し上げ奉りまする。

Sold out!


モデル撮影を待つまでも無く、初回ロットが売り切れてしまいました。
お待ちいただいていて、すぐにオーダーいただきありがとうございます。

さっそく、次ロットの作成を依頼しました。
おそらく、来年の春3-4月頃には完成するのではないかと、希望的観測です。

このリンキングニットは、シルクニットタイと同じで納期がなかなか読めない製品です。また、完全なる新製品につき、いつもの布帛以上に、自分が想像もつかない、また経験もしていない何かが起きても対処できるよう、納期以上に一つ一つの工程を確認しながら進めてもらいました。

実際、作業を見るとどうやっても時間短縮のしようが無い作業であり、できる限り多くの在庫を持ってじっくり販売する必要を感じました。
セカンドロットは、ファーストロットよりは少し多めに作り始めています。

今回お買い求めいただけなかったお客様には、今しばらくお待ちいただけますようお願いいたします。

縫ってみないとわからない


来年の秋冬は久しぶりにステンカラーを作ります。
ジャケットの上に、ハイネックの上に。ざっくり着られるステンカラー。
以前作ったものはフード付きや、月腰切り替え。今回は、ビンテージのLondonfogなんかである台襟付のデザインにしています。

ビンテージを見てみると、伸縮性の無い生地なため切り替え線がかなり極端な線をしています。台襟は首に沿うように。でも、羽襟は寸法が不足しないように。

身頃の首回り自体、テン巾(前から見た時の首の巾)も広く、アウターとして作られているので台襟は首に沿わせていかないと襟が抜けてしまうからです。

で、さっそくこの形を元に仮縫いしてみると・・・



襟自体は綺麗に返り、台襟のボタン関係も間違いなし。
ただ縫ってみてわかったのが縫製仕様について。

当初、普通のカバーオールのように表・裏を作って最後に台襟で始末を考えていました。仮縫いはちょうどそれに近い縫い方なので縫ってみると・・・身頃の襟ぐり、台襟のカーブが中々きついので難しい。

良く考えれば当たり前で、カバーオールの台襟は時に二本針でラッパ(金具)を使って縫うこともあるようなまっすぐの襟。あれはつけやすくとも、カーブとカーブを同じつけ方はとてもやりづらいのです。

こうなると、N-1でおなじみの先に襟を作って身頃に流し込むという方法がベター。実際実物を見ると・・・やはりそう成ってます。
やはり、何年やっても古着から学ぶことは多いです。

Cotton Sweater


お待たせいたしました、コットンセーターがやっと完成しました。
詳しくはリンク先で。
http://www.e-workers.net/store/spot/knit/ia1.htm

出来上がったばかりなので、モデルに着てもらって撮影が出来ていません。
先ほど、「クリスマスプレゼントあげるからきてくれ!!!(バイト代は欲しいと言ってたセーターだ)」とセーターで吊ったので近日中に来るはずです。

サイズは1サイズ、LARGEのみですが乾燥機にかけると縮みます。(自己責任でお願いします)
普通の洗濯でも冬のファンヒーターの部屋で倒して干すと若干縮みます。
吊干しすると逆に少し縦方向伸びます。

今回の1サイズ、洗濯での縮み/着用での伸びを考えて、WORKERSで言うと14.5サイズ~17.5サイズの方までほぼ着られる寸法を目指しました。

というのも、コットンニットもウールのニットもそうですが、洗濯をするとたいてい縮みます。そのうえで着ると伸びる。これを繰り返して、だんだん目が詰まって寸法が落ち着いていくのですが、最初少し大き目でないとどうしても縮みすぎてしまうのです。
買った時は「ジャストだな」と思ったセーターが洗濯で縮んでベルトが見えるぐらいまで縮んでしまったことが多々・・・なので、今回のセーターは少し大き目に作っています。

サイズ感というのは難しい物で、私自身、モデルにしたセーターを最初買った時は「まぁ、こんなものかな」と思い着ていましたが、時間が経つにつれ世の中がタイトフィッティング気味になりました。その頃は「ちょっと大きいよなぁ」と思って着ていたのが、今となってはちょうど良い。服そのもののサイズも着続ければ微妙に変わり、また自分の体系も変わり・・・

いろいろありましたが、最終的にセーターは少し大き目をざっくり。これが縮んでも大丈夫、リンキングの縫い目にも負荷がかからないので長く着られる秘訣ではないかと思います。

生きてます

さっぱりブログも更新せず申し訳ありません。
早くも16FWのサンプルが佳境を迎えつつあり、バタバタしていました。




登場は来年の7月ぐらいですが、こんな製品も作成中です。




製品の詳細は来年4月の展示会&カタログでご案内します。
半年近く先ですが、今からやらないと間に合わない。洋服作りは気が長い話です。



そんな合間をぬって関西方面の仕入先さんを回ってきました。
これも来秋冬のネクタイやら革ラベルやら。
写真は京都の四条の橋から北を見た所。私が行くときは京都はたいてい曇り。
でも、曇った先、遠くに見える山が何とも言えないグラデーションで綺麗だなといつも思います。


12月なので南座に招きも上がってました。


京都は何でも無い路地も良い雰囲気なのです。これ、革ラベル屋さんのすぐそばの小道。和菓子屋、豆腐屋。こんなところに住んでみたい。


帰りは、取引先?のボナーさんへ。WORKERSのジャケット、首元のボタンをしめればマフラー替わりに成るのがわかってとてもうれしそう。この日はとても寒かったので、ツイードジャケットをマフラー替わりに。

POCKETS



いつの間にか、弊社モデルS君が新しいブログ?タンブラー?を作っていました。
各画像の「Detail」という文字をクリックすると詳細を見ることが出来ます。
本当は画像をクリックすればリンクに飛ぶようにしたいそうですが。

彼は、ウイリス&ガイナーやハンティングを自分のデザインの背骨にしたいようです。あえて茨の道を行くわけです。というのも、ハンティングウェアはワークウェア以上に用途が限定されます。これを、街着としてデザインに活かすのは至難の業。
単純に「デザイン」と捉えて、その組み合わせで新たな物を作ることもできますが、それだけだと説得力も無く。中々、現代に通用する「服」にするのが難しいデザインソースだと私は感じています。

彼は先日もハンティングベストとクルーザーベストの違いを熱く語っていました。(森林で使う紐が入るポケットや、それが出る穴やらなんやら)
そういえば、私も20代の頃はこんなだったなと思いつつ、「苦労するけど楽しめよ・・・」と思う、30代後半でした。

Upload







例によって気が早いのですが3月納品予定製品を更新しています。
http://www.e-workers.net/store/201603/top.htm

新型のサマーフライトやスウェットショーツ。
半袖スウェットも生地の特性に合わせて、伸び止めテープを入れ込んでみたり、同じものも少しづつ工夫しながら作っています。
是非、詳細をご覧ください。

Black Tool Bag


今季、WORKERSでは納期を設けず、また受注生産ではなく弊社にて在庫を作り開発をしている製品があります。

ブログでご紹介しているセーターももうすぐ出来上がる予定ですが、その前に、Black Tool Bagが完成しましたのでご案内いたします。

http://www.e-workers.net/store/spot/201512/ia1.htm

以前からツールバッグを黒系など、汚れに強い色物でというご要望をいただいておりました。
ただ、製品染めするとどうしても生地が柔らかく成ってしまうのがネックで試行錯誤を繰り返していました。
今回、新たな硬仕上げ剤で染め後に加工することで、未洗い程ではありませんが、満足行く硬さとなりました。

Mediumはほぼ自立します。Largeは自重があるためギリギリといった感じです。

染め自体は反応染めという、堅牢度があり色移りがしづらい方法。やはりカバンとして使って色移りをさせたくなかったためです。
ただ、白物との着用はさすがに避けてください。

反応染めというとベタっとムラ感が出ないのですが、今回は硬仕上げ剤のおかげで角々が若干白化してあたかも長年使ったかのような風合いに成っています。


是非、商品詳細をご覧いただけますようお願いいたします。

撮影・確認・パターン修正



12月分の更新用に撮影をしています。
WORKERSでは、パターン作成から撮影まで、自分でやります。
元々は、単純にコスト削減&時間短縮の為だったのですが、今ではこのやり方がWORKERSらしさの大事な部分ではないかと感じます。というのも・・・


撮影してみるといろいろと気づくことがあります。
今回もこの微妙な襟の収まり具合が気になります。こうなると、撮影は一時中断してパターンメーキングソフトを立ち上げます。


元型はこのような状態。単純に羽襟の後ろ中心を太くしても良いのですが、台襟もわずかに高く感じたので削ります。

台襟を1ミリ削り、羽襟を2ミリ出しました。これだけでもだいぶ良くなると思いますがもう一点、羽襟の周りが若干不足しているので襟が跳ねるように感じました。そこで、次は羽襟の修正に入ります。

わかりやすくするため、ステッチ線等すべて消しています。
羽襟と台襟がくっつく側は今の寸法をキープしないといけません。
そこで、案内線を入れて、少しだけ襟を回転させます。
ちょうど、案内線でV字になった部分、このVの頂点が開店位置です。これで、襟外回りが少しだけ長くなるように修正し、線を描きなおします。


上が修正後。襟周りが半身で1.7ミリ伸びました。重ねて比較してみると・・・

このように、ほんのわずかですが、線が変わっています。

この一連の流れ。本来は
・デザイナーが絵を描く→パタンナーがパターンを作る→サンプルを作成して出来上がりをチェック(デザイナー・パタンナー)→デザイナーもしくはパタンナーが修正指示→パタンナーが修正

これを、撮影やりながらWORKERSの場合、一人でその場でやってしまうわけです。
作業効率が良いかどうかは微妙ですが(撮影・パターン修正と行ったり来たりするから)気付いたことはすぐその場で修正できること。また、単純に人の目で見る以上に「写真」に撮ることで冷静に気付けるのも強みです。

こういう微妙な部分の積み重ねが、一言で「良く出来たカジュアルウェア」を目指すための大事な部分なのだなと、最近になって自分自身で気付きました。
という事で、まだまだ撮影&パターン修正を続けていきます。

リンキング・ニットの縫製

編立の終わった各パーツは「リンキング」と呼ばれる縫い合わせの工程に移ります。

「成形物」ニットの特徴で、目をひろい、お互いのパーツを環縫いで縫い合わせます。裏にロックが見えないので綺麗、また縫い代がとても薄い(1目や2目分)ので、着た時にごろつきが少ない。その代り、縫い合わせにとても時間がかかる。では、その時間がかかるのはなぜかというと・・・




典型的な丸型のリンキング機。ずらりと並んだ針に、人間が一目・一目二枚の部品を合わせます。実際に縫っているところはこの後動画で・・・

リンキングというとこの丸型だけかと思いましたが、縦型というかまっすぐ針が並んだものもあります。




この針の間隔、縫う時の目数がゲージによりセッティングが違います。
いちいち、その都度調整して、というわけにも中々いかないのでそれぞれのゲージに合わせて工場には何台ものリンキング機が所せましと並んでいます。
このあたり、同じ巻き縫いでもゲージ(針幅)が違えば何台も必要というのと似た世界です。


縫いあがったらすぐに寸法チェック。今回、あえてこの前Vだけ裁断+縫製というリンキングとは違う手法を使っています。設計段階で目数を合わせて作ってあったものがここでずれてしまうのでは?と心配したのですが、そこはさすがの技術でした。



小さな印が見えるでしょうか?これが目数を数えて「ここ!」という位置に入れた印なのです。V部分を縫う段階でもこの印を合わせ、さらに襟のリブをつける時も印を合わせてリンキング機の針に刺していく。
もう本当に、人間の目と、手と、どこまで正確にできるかという世界です。

でも、ここまで丁寧に、精密な仕事はしていてもおばちゃんたちはみなとても謙虚というか、まっすぐというか。
やはり仕事柄、他のセーターも良く見るそうで、「中国製でもとてもきれいに縫えてる物もたくさんある」と、あくまで技術を見ているのです。
「MADE IN JAPANの職人技だ」なんて、本当に精緻で、地道な仕事をしている人は言わないのです。
どこの国で、だれが作っていようと綺麗にできているものは出来ていると、きちっと評価する。そのうえで、そんな製品に負けないよう、目の前の仕事に向き合う。
私はこういう工場の人が大好きです。

では、リンキングを実際に動画で



リンキング from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.



丸型リンキング・縦型リンキング、最後が編みだし部分を取っているところです。
編立時についていた編みだし部分は、縫製後に取ります。


リブの継ぎ目はどうするかというと、この長さだとリンキング機にはかからないので手縫いになります。

さらにネームも手縫いでつけ、最終、洗い・検品・仕上げへ。これでやっと、WORKERSのニットの完成です。

ニットの編立

では、いきなり製品作りに行く前にニットの種類について。
今回、WORKERSで作るニットは「成形物」とか「リンキングニット」と呼ばれる物に、前Vのみ「裁断物」の要素を組み合わせたもの。

編み物を前身頃・後ろ身頃・襟・前V部分と分けて作ります。
これを、前Vのみ地縫い+オーバー+倒しステッチ。
それ以外をすべて「リンキング」という編地を環縫いで縫いつける方法で作ります。今回は、まずその編地つくりから。



これが「横編機」。以前、スウェットやTシャツを作った時の「丸編み機」とは形が違います。あちらは同じ編地でも、生地が筒状に出てきますが、こちらは平らな状態で出来上がります。

横編機と言えばおなじみ、島精機。実は、私も以前の職場では島精機のCADを使っていたので懐かしいメーカーさんなのです。会社が和歌山にあり、研修に行った時も周りにはイタリア、インド、いろいろな国から来た人たちが編地を作る為の研修を受けていました。余談はさておき、こんな風に動きます。



WORKERS Knit from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.


左右に行ったり来たりする部分、ここが給糸部分を持って走って行って、編み針で編む。そして、下に出てくるという流れです。
肝心な編んでいる部分は給糸部分がかぶさってわからくなるので止まった状態で。


これが給糸部分。左から糸が2本、右から1本、合計3本を引き揃えて編んでいきます。


先ほどの左の部分に糸を供給している部分。
2本どりが2つ。というのも、給糸部が2つあるため、2本×2箇所分。
さらに、その奥に「編みだし」と呼ばれる、編み目の最初の部分を作る為の別糸(この時は白)が入っています。



こちらは先ほどと逆側。給糸部でいうと、右側に糸を送り出している部分。
こちらは1本×2箇所分。


編んでいる部分は給糸部が上に重なってしまって見えないので、一度編み機を止めてくれているAさん。


模擬的に編み針が出た状態。糸をこの編み針がひっかけて編地にしていきます。横に並んだ針の数がゲージ。1インチあたりの編み目の数になります。



針は単体で見るとこのような形をしています。この先のフックの部分に糸をひっかけて編みます。当然、ゲージが高い(目が細かい)場合、細い針が必要になる。細い針に成ればなるほど、太い糸はかからなくなる。

私が現代のニットを見て「高ゲージ過ぎて華奢に見える」と感じた部分はこのあたりにあるのかもしれません。今回私がお願いした工場さんのこの編み機は14ゲージ。1インチあたりの編み目は14目。さらに度詰めもしています。
つまり、横方向は針の数で編み目の数は決まっているので、縦方向のループを小さくすることで目を細かく、厚みのある編地にしているのです。当然、その分糸量は増えるので若干重く、また原材料も多く使うので価格も上がりますが、洗ってもそう簡単にはへこたれないニットを作る為にどうしても必要な部分です。


で、1パーツ。袖が出来上がったところ。縫製後に洗いがあるので、これよりさらに目が詰まります。そのあたりもサンプル時の仕上がりを計算に入れて編み目の設計をしています。

下の方にある白糸が編みだし部分。編みはじめは編み目が安定しないので、別糸で少し編んで、安定してから本番の糸に変えます。ちょうど、縫い物をするときに、最初に調子布といって仮の布で少し縫ってから、本番を縫い始めるのに似ています。

WORKERS初のニット製品・「私とイギリス製セーター」

もうすぐWORKERS初のセーターが出来上がります。
その前に、なんでこの製品を作ったか・・・まずは、私とこのセーターのなれ初めから。

参考にしたオリジナル。
メリノウール、スウェット風に前Vが入ったごく普通の丸首セーター。まさか20年近く着るとは・・・

今をさかのぼること、17年ほど前。当時20ぐらいだった私は埼玉に住んでいました。
近所に、ふじみ野という駅がありそこに日本たぶん初?のアウトレットモールがありました。

今ではアウトレットモールというと、本来の意味の「余剰品を安く」ではなく、アウトレットモール専用商品も多く見られますが当時は本当の意味の「アウトレット」
当時、買いたくても買えなかったとあるイギリス製ニットメーカーのアウトレット店もそこにありました。

その日は珍しく、祖父母の車を借りて志木からふじみ野まで車で。そこで見たのが、この写真のウールの丸首セーターと、もう一つ、コットンのパーカーでした。
確か、パーカーが2-3000円?というとんでも無い値段で売られていて、その日はそれだけ買って帰ったのですが、どうしてももう一枚、丸首が忘れらず。(こちらは確か1万円程度?)数日経って、何とかお金を作ってもう一度買いに行った一枚です。

微妙な色のパーカー。こちらはシーアイランドコットン。こちらはあまり着ていないのでタグも取れてない。

当時、私はそれほど「インポート至上主義」的な考え方は無く、どちらかというと、裏原とかリアルマッコイズに代表されるレプリカ系とか、そちらを好んで着ていました。(と言いながら、古着でcorgi買ってみたり、新品は買えないので古着で探していました)そんな私が、なぜだかこの前Vのセーターには惹かれてずっと着ていました。

さんざん着たのに穴も開いてないし、毛玉も少々。

シャツの上に。アメリカや寒い時期の国内出張に行くときには寝間着として。スウェットよりも薄くなり荷物に成る時にかさばらないからです。
洗濯もネットに入れて洗うだけでさんざん洗いました。おかげで、ブランドネームも品質ネームもとっくに取れて(取って?)しまって、今ではどこの何かすらわかりません。

当時、雑誌などで「イギリス製ハイゲージニットが着て、洗ってを繰り返し目が詰まった風合いは何にも代えがたい」なんてうたい文句も読んでいました。それが、17年という長い時間をかけて自分自身、身を以て理解できた1枚です。

そんな学生時代からだいぶ時間が経って、最近久しぶりにハイゲージセーターを買って着てみると・・・どうも当時とは様子が違う。まず目付(重さ)が軽い。24ゲージ、30ゲージと目がとても細かい。これはこれでドレスウェア的には正解だと思うのですが、普通にネットに入れて洗濯、着るを繰り返しても目の前のこの1枚のようにはなりそうにありません。

そこで、「1990年代後半、ビンテージ・・・まではいかないけれど、自分が若かったころに着たこの1枚」をもう一度着たい。それもせっかく作るなら、ウールではなくコットンで作ってより長い期間着られるように。そんなことで始まった企画です。

デニム織布

WORKERSデニムの次ロットが週末から織りに入るのでまた打ち合わせに井原まで。
井原というのが、WORKERSの職場からだいたい1時間ほど。
デニム生地の織布を中心とした工程があつまり、生地コンバーターさん(企画をする生地メーカーさん)も多くあります。




で、今回の打ち合わせは織機を動かしているKさんにジーンズ渡す事。
それと、次ロットでほんの少しだけタテ・ヨコのテンションをファーストロットよりもかけてみる事。

綿(ワタ)・糸・染めは全く同じ。ファーストロットは超弱テンション、織りキズが出来るギリギリで織ってもらいました。生地表面の凸凹はマックス。伸び縮みも非常に激しい。洗濯を繰り返すと、繊維がしまって来るのですがそれまでは本当に「糸そのもの・綿そのもの」の風合いが表面から感じられます。

あれも良いのですが、今度はもう少し、ぎちっと締まった風合いも兼ね備えてみたい。そこでテンションの話です。

まずは緯(ヨコ)糸。ご存じ「シャットル」と呼ばれる物。これも種類がいろいろあるのですが、このタイプは糸の横についている毛羽。これの向き&先に出ていく部分。ここの糸の通し方で微妙にテンションを変える。
ちなみに、WORKERSの生地を織る織機もこのタイプ。


また別タイプは先にこのような金具がついているものあり、これはネジを締める事でテンションを調節するタイプ。


そして、経(タテ)糸。タテは、このあたりの部品をいじって・・・



WORKERS Denim Mill from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.


ここの部品の動き具合。それと、織機の表側に回って実際、織りあがった糸の張り具合を手で確かめる。

Kさんは、毎度おなじみ「どうやって説明するかな~」なんて言いながら、細かく教えてくれるのですが、具体的にはさっぱりです。

織機も、種類が違えばこのテンションのかけ方も違う。同じ種類の織機ですら、同じように部品を組んでも同じテンションにはならない。
何かゲージとかデジタルの数値が出るわけでなく、全部動き具合と手加減の世界。

そもそも、糸も毎回微妙に違う。同じ規格であっても、シーズンが変われば違うし、時期によっても違う。
こうなってくると、単純に「テンションは何々キロで」とか決められるものでは無いのです。

そんなとき、私が考えるのは
「WORKERSはどんなものが作りたいのか」
「最初作ったのはこんなものだった。次は、それを同じにしたいのか、少し何か変えてみたいのか」

そういったことを理解してくれて、微調整してもらえる人。それがKさんであり、この機場の社長、Oさんなのです。毎度行って、今度のはこんなだった。穿いてみてこんなことを感じた。だからこうしたい。
そうかそうか、WORKERSだからこれが良いんだよなという事になるのです。

私が出来る限り工場へ行く、その時は製品を持っていくし、場合によっては現物を渡して工場の人にも使ってもらうのはこのためです。自分で使ってもらえば、その良し悪し、いろいろなポイントを感じてもらえる、一緒に考えてもらえる。

結局「アパレルメーカー」とか「ブランド」なんて言いますが、物を作るのは紡績であり、染色、織布、仕上げ、縫製とすべて工場です。
スペック、仕様書、ターゲットになる古着等々。これらがあっても、最後の最後は「WORKERSのあいつは何をしたいんだっけ」と感じてもらえる、考えてもらえる姿勢が必要です。

元々は「もっと作業工程を知りたい」とか、単純に楽しくて工場へばかり行っていたのですが、今ではそれが自分の物作りにも少しは反映されているかな?と感じるようになってきました。

という事で、今週はさらに某所のニッティング工場へ、片道4時間の旅に行ってきます。