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Cotton Cardigan, Navy





http://www.e-workers.net/store/spot/card/ia1.htm

やっとできました・・・スーピマオーガニックコットン・毛羽を巻き込むコンパクト紡績。縫い目はロックが出ないリンキング。ボタンは高級黒蝶貝。

やりたいだけやり切ったニットカーディガン。

私が冬に成るといつもするのがオックスのボタンダウン+ネクタイ+カーディガン。
その上にウールのジャケット着てステンカラー。下はジーンズ・チノ・4ポケットパンツのようなトラウザー、まぁ、何を合わせても合います。軍パンだって外しでならいいかも。


今回使った糸。超長繊維のスーピマ、さらにコンパクト紡績を使っている理由は何より、出来る限り長く、毛玉が出来ないようにするため。

まず、糸の毛羽とは・・・


上から、ガス焼き。コンパクト。コーマ(コーマという櫛ですいて短繊維を落とした糸。ここで落ちた綿をあえて混ぜたのがWORKERSよくTシャツに使うラフィー)
毛羽の出具合の違いが良くわかる顕微鏡写真。
こう見ると、ガス焼きまでしたものが一番毛羽は少ないのですが、毛羽が落ちた分糸が痩せます。17SSのシャツ生地はガス焼きまでしている糸を使いましたが、セーターはその手前。コンパクト紡績の物。

ちなみに・・・糸は
「カード」(コーマ・櫛ですいて短繊維を落としていない)
「コーマ」(カードを櫛ですいて短繊維を落としたもの)
「コンパクト」(精紡機にある部品がついていて、短繊維を巻きこんだ物)
「ガス焼き」(精紡機から出来上がった糸を焼いて短繊維を落としたもの)

等があります。一般的に、下に行けば行くほど短繊維が少ないと言われてますが、原綿・糸の太さ(番手)にもよるので一概には言えません。


さらにデータで。
単位あたりの短繊維の数を数えたもの。

40番のコーマとコンパクトを比較しています。
たとえば、10Mあたり5mmの毛羽の数はというと・・・
精紡機から出てきた段階ではコーマ10.1個にたいして、コンパクトは7.2個。
この段階では大した違いではないけれど、次に、これをチーズアップという持ち運びしやすい大きさに巻く。
そうすると、同じ条件で、コーマは91.1個、コンパクトは22.6個。


ちょっと長くなりますが・・・糸が出来上がってから染まるまでにも・・・

精紡機から糸が出来上がったところ。管に巻きついた糸は微々たる量。
このままでは運べないので・・・

チーズアップという作業。下に先ほどの精紡機から出来上がった細い管があり、それを何本もつなぎ合わせて大きなチーズと呼ばれる状態にしていく。

今度は染め工場へ。
上にあるのがチーズアップした糸、これをソフトにまき直し。上から下に向かって巻いてます。
染料が通りやすいように、中に穴がたくさん開いた管に「ソフトに」巻いていきます。
きつく巻いたら染まらないのです。
窯に入れて糸を染めているところ。中に軸があり、底から染料が外に向かって出る。
さっきの管の穴を通って、染料が外に・外に出て均一に染まっていく。
今度は染まった糸を、最初とは逆にまたチーズ巻に戻していく。
これで、次の撚糸(糸を撚る)工程や、織物なら糸を織機にかかる状態にかける工程へ・・・


と、編み機や織機にかかる前の段階でもいったい、何回まき直しをしていることが・・・
こういう工程をするごとに、先ほどのデータのように加速度的に毛羽は増えていきます。
もちろん、新品ではその違いはほとんどわかりません。「整理」と呼ばれる、織った生地の表面をきれいにしたり、編地でもセットとか、いわゆる「新品時に綺麗に見えるように」という工程があるのです。

でも、家で何年も洗えば、その生地、その編地の素性が見えてくるのです。
ニットはどうしても、新品状態では違いが分かりづらいですが、良い素材を使っていると長い時間が経った後に違いが出てきます。

う~ん、今日はあまりにマニアックな話題だったので、明日はモデルに実際このカーディガンを着てもらいます。

Organic Cotton Knit再び



このとんでもない時期にできてしまいました・・・オーガニックコットンニットです。

http://www.e-workers.net/store/stocks.htm

今回のロット、L寸は若干の編地変更をしています。着丈を少しだけファーストロットより短く、ウェストリブの収縮率を強くしてています。

さらに、サイズMも作成。WORKERSのシャツで14-15の方はMサイズ、16-17の方はLサイズといった設定です。13の方はMサイズを乾燥機で縮める荒業もありますが自己責任で。

実は、この前Vクルーネックの後にカーディガンも作っています。ここまでで、今回使っているオーガニックコットン・コンパクト糸の在庫が尽きてしまいました。
本当はグレーもやりたかったのですが、それは来年以降になりそうです。

もちろん、量があれば今すぐにでも糸つくりは始められるのですが、セーター数百枚分なのでまだ躊躇してます。作りたい製品は丸首、タートル、カーディガン、マフラーとたくさんあります。
糸を、このオーガニックコットン・コンパクト糸にこだわらないで、「同じ太さの綿糸」としてしまえば、これまた世の中には在庫があるので単純に同じ形・色というだけなら作れない事は無いです。たぶん糸値も下がるのでちょっとお安くもなります。
でも、今回のニットは長く着て毛羽立ちづらい物を作りたい。だから、スーピマコットン(米綿の超長綿)、さらにコンパクト紡績で毛羽を出来る限り少なく。これが企画の根底にあるので簡単に変えることが出来ません。


ジーンズの糸も綿から選んで完全別注しました。だいたい、セルビッジジーンズで1600本ぐらい。それがやっと最近すべて生地に成って、縫う目途が立ったところでして・・・
単純な生地の別注、プリントとか染めとかだけでなく「綿」だ「糸」だといった、とても量の要る別注までしているので、作りたいものを作れて楽しい反面、常に糸の在庫、生地の在庫を考えながらの生産に成っています。無くてもダメ、多すぎてもつらい。

でも、そんな苦労はあっても、去年できてからずっと着ていたセーターの風合い。何回も洗って、目が詰まって、でも毛羽がそんなに立って無い。
今日も、ジーンズをはいていて細めの経糸に見えだした微妙なタテ落ち。こういうのに気付くと「やっぱり、0から作ってよかったな」と思えるのです。

リンキング・ニットの縫製

編立の終わった各パーツは「リンキング」と呼ばれる縫い合わせの工程に移ります。

「成形物」ニットの特徴で、目をひろい、お互いのパーツを環縫いで縫い合わせます。裏にロックが見えないので綺麗、また縫い代がとても薄い(1目や2目分)ので、着た時にごろつきが少ない。その代り、縫い合わせにとても時間がかかる。では、その時間がかかるのはなぜかというと・・・




典型的な丸型のリンキング機。ずらりと並んだ針に、人間が一目・一目二枚の部品を合わせます。実際に縫っているところはこの後動画で・・・

リンキングというとこの丸型だけかと思いましたが、縦型というかまっすぐ針が並んだものもあります。




この針の間隔、縫う時の目数がゲージによりセッティングが違います。
いちいち、その都度調整して、というわけにも中々いかないのでそれぞれのゲージに合わせて工場には何台ものリンキング機が所せましと並んでいます。
このあたり、同じ巻き縫いでもゲージ(針幅)が違えば何台も必要というのと似た世界です。


縫いあがったらすぐに寸法チェック。今回、あえてこの前Vだけ裁断+縫製というリンキングとは違う手法を使っています。設計段階で目数を合わせて作ってあったものがここでずれてしまうのでは?と心配したのですが、そこはさすがの技術でした。



小さな印が見えるでしょうか?これが目数を数えて「ここ!」という位置に入れた印なのです。V部分を縫う段階でもこの印を合わせ、さらに襟のリブをつける時も印を合わせてリンキング機の針に刺していく。
もう本当に、人間の目と、手と、どこまで正確にできるかという世界です。

でも、ここまで丁寧に、精密な仕事はしていてもおばちゃんたちはみなとても謙虚というか、まっすぐというか。
やはり仕事柄、他のセーターも良く見るそうで、「中国製でもとてもきれいに縫えてる物もたくさんある」と、あくまで技術を見ているのです。
「MADE IN JAPANの職人技だ」なんて、本当に精緻で、地道な仕事をしている人は言わないのです。
どこの国で、だれが作っていようと綺麗にできているものは出来ていると、きちっと評価する。そのうえで、そんな製品に負けないよう、目の前の仕事に向き合う。
私はこういう工場の人が大好きです。

では、リンキングを実際に動画で



リンキング from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.



丸型リンキング・縦型リンキング、最後が編みだし部分を取っているところです。
編立時についていた編みだし部分は、縫製後に取ります。


リブの継ぎ目はどうするかというと、この長さだとリンキング機にはかからないので手縫いになります。

さらにネームも手縫いでつけ、最終、洗い・検品・仕上げへ。これでやっと、WORKERSのニットの完成です。

ニットの編立

では、いきなり製品作りに行く前にニットの種類について。
今回、WORKERSで作るニットは「成形物」とか「リンキングニット」と呼ばれる物に、前Vのみ「裁断物」の要素を組み合わせたもの。

編み物を前身頃・後ろ身頃・襟・前V部分と分けて作ります。
これを、前Vのみ地縫い+オーバー+倒しステッチ。
それ以外をすべて「リンキング」という編地を環縫いで縫いつける方法で作ります。今回は、まずその編地つくりから。



これが「横編機」。以前、スウェットやTシャツを作った時の「丸編み機」とは形が違います。あちらは同じ編地でも、生地が筒状に出てきますが、こちらは平らな状態で出来上がります。

横編機と言えばおなじみ、島精機。実は、私も以前の職場では島精機のCADを使っていたので懐かしいメーカーさんなのです。会社が和歌山にあり、研修に行った時も周りにはイタリア、インド、いろいろな国から来た人たちが編地を作る為の研修を受けていました。余談はさておき、こんな風に動きます。



WORKERS Knit from WORKERS Co.,Ltd on Vimeo.


左右に行ったり来たりする部分、ここが給糸部分を持って走って行って、編み針で編む。そして、下に出てくるという流れです。
肝心な編んでいる部分は給糸部分がかぶさってわからくなるので止まった状態で。


これが給糸部分。左から糸が2本、右から1本、合計3本を引き揃えて編んでいきます。


先ほどの左の部分に糸を供給している部分。
2本どりが2つ。というのも、給糸部が2つあるため、2本×2箇所分。
さらに、その奥に「編みだし」と呼ばれる、編み目の最初の部分を作る為の別糸(この時は白)が入っています。



こちらは先ほどと逆側。給糸部でいうと、右側に糸を送り出している部分。
こちらは1本×2箇所分。


編んでいる部分は給糸部が上に重なってしまって見えないので、一度編み機を止めてくれているAさん。


模擬的に編み針が出た状態。糸をこの編み針がひっかけて編地にしていきます。横に並んだ針の数がゲージ。1インチあたりの編み目の数になります。



針は単体で見るとこのような形をしています。この先のフックの部分に糸をひっかけて編みます。当然、ゲージが高い(目が細かい)場合、細い針が必要になる。細い針に成ればなるほど、太い糸はかからなくなる。

私が現代のニットを見て「高ゲージ過ぎて華奢に見える」と感じた部分はこのあたりにあるのかもしれません。今回私がお願いした工場さんのこの編み機は14ゲージ。1インチあたりの編み目は14目。さらに度詰めもしています。
つまり、横方向は針の数で編み目の数は決まっているので、縦方向のループを小さくすることで目を細かく、厚みのある編地にしているのです。当然、その分糸量は増えるので若干重く、また原材料も多く使うので価格も上がりますが、洗ってもそう簡単にはへこたれないニットを作る為にどうしても必要な部分です。


で、1パーツ。袖が出来上がったところ。縫製後に洗いがあるので、これよりさらに目が詰まります。そのあたりもサンプル時の仕上がりを計算に入れて編み目の設計をしています。

下の方にある白糸が編みだし部分。編みはじめは編み目が安定しないので、別糸で少し編んで、安定してから本番の糸に変えます。ちょうど、縫い物をするときに、最初に調子布といって仮の布で少し縫ってから、本番を縫い始めるのに似ています。

WORKERS初のニット製品・「私とイギリス製セーター」

もうすぐWORKERS初のセーターが出来上がります。
その前に、なんでこの製品を作ったか・・・まずは、私とこのセーターのなれ初めから。

参考にしたオリジナル。
メリノウール、スウェット風に前Vが入ったごく普通の丸首セーター。まさか20年近く着るとは・・・

今をさかのぼること、17年ほど前。当時20ぐらいだった私は埼玉に住んでいました。
近所に、ふじみ野という駅がありそこに日本たぶん初?のアウトレットモールがありました。

今ではアウトレットモールというと、本来の意味の「余剰品を安く」ではなく、アウトレットモール専用商品も多く見られますが当時は本当の意味の「アウトレット」
当時、買いたくても買えなかったとあるイギリス製ニットメーカーのアウトレット店もそこにありました。

その日は珍しく、祖父母の車を借りて志木からふじみ野まで車で。そこで見たのが、この写真のウールの丸首セーターと、もう一つ、コットンのパーカーでした。
確か、パーカーが2-3000円?というとんでも無い値段で売られていて、その日はそれだけ買って帰ったのですが、どうしてももう一枚、丸首が忘れらず。(こちらは確か1万円程度?)数日経って、何とかお金を作ってもう一度買いに行った一枚です。

微妙な色のパーカー。こちらはシーアイランドコットン。こちらはあまり着ていないのでタグも取れてない。

当時、私はそれほど「インポート至上主義」的な考え方は無く、どちらかというと、裏原とかリアルマッコイズに代表されるレプリカ系とか、そちらを好んで着ていました。(と言いながら、古着でcorgi買ってみたり、新品は買えないので古着で探していました)そんな私が、なぜだかこの前Vのセーターには惹かれてずっと着ていました。

さんざん着たのに穴も開いてないし、毛玉も少々。

シャツの上に。アメリカや寒い時期の国内出張に行くときには寝間着として。スウェットよりも薄くなり荷物に成る時にかさばらないからです。
洗濯もネットに入れて洗うだけでさんざん洗いました。おかげで、ブランドネームも品質ネームもとっくに取れて(取って?)しまって、今ではどこの何かすらわかりません。

当時、雑誌などで「イギリス製ハイゲージニットが着て、洗ってを繰り返し目が詰まった風合いは何にも代えがたい」なんてうたい文句も読んでいました。それが、17年という長い時間をかけて自分自身、身を以て理解できた1枚です。

そんな学生時代からだいぶ時間が経って、最近久しぶりにハイゲージセーターを買って着てみると・・・どうも当時とは様子が違う。まず目付(重さ)が軽い。24ゲージ、30ゲージと目がとても細かい。これはこれでドレスウェア的には正解だと思うのですが、普通にネットに入れて洗濯、着るを繰り返しても目の前のこの1枚のようにはなりそうにありません。

そこで、「1990年代後半、ビンテージ・・・まではいかないけれど、自分が若かったころに着たこの1枚」をもう一度着たい。それもせっかく作るなら、ウールではなくコットンで作ってより長い期間着られるように。そんなことで始まった企画です。

Knit



今期の製品とは別に、納期を設けずニットを作っています。

オーガニックコットン、コンパクト紡績という毛羽を中に巻き込む紡績方法。
その糸を2本双糸(60番双糸で30番相当)にして、さらに編み機に3本引き揃えにして編立ます。

ニットというと、Tシャツのように生地を編んで・切って・縫う。カット(裁断)してそー(縫う)、これをもじって「ニットソー」などと呼ばれる物ありますが、私が今回作っているのは基本「リンキング」とか「成形物」と呼ばれる物。

初めから、身頃の形に編み上がり、それを「リンキング」という目をひろいながら縫うのです。裏返すと、縫い目にロックがありません。

が、そのリンキングニットにあえて一か所だけ、裁断物と同じロック+縫製を入れています。それが、前Vの部分。

実はこのニット、自分が20年程前に買って着ていた物をモデルに作っています。
某ハイゲージで有名なニットメーカーですが、当時は今ほどゲージもハイゲージではなかった。生地厚もあり、ハイゲージでもとても丈夫でした。

ハイゲージセーターは今では妙なハイゲージ競争の様相に成ってしまっています。確かに、ゲージが高い、目が細かい程技術は要るのでしょうが、理論的に目が細かい程糸も細くないと編めない。糸が細く、とても繊細ではあるけれど強度を考えると疑問が残ります。実際、3万円を超えるようなニットが、本気で着れば1シーズンでダメになる。それってどうなのだ?と思い、目の前の20年前に買ったハイゲージニットを参考に作り始めたのです。

ハイゲージと言っても14ゲージ。単純に軽く、またコストも抑えようと思えば糸を2本引き揃える程度がベーシックな編地なのですが、あえて3本入れています。しっかりした重さ、生地厚が欲しかったからです。

結果出来上がった製品は、まさに自分が20年前に手に入れた製品そのまま。作ってみて、この製品が現代にあまり作られなくなった理由もわかりました。糸量が増えるのでコストがかかるのです。

私にとって、ニットは未知の世界です。やってみなければコストもわからない。だから、ある意味無茶なトライもできたわけです。続報をお楽しみに。