工場との関係






出張から帰ってくると、工場から縫い見本が届いていました。
真ん中のと上の二枚が届いたもの。それ以外はまた別の工場で作ってもらったものです。

高密度な生地に穴をあけるときは、穴のあけ方、形、針の目数、カガリの幅、芯、これらを最適にしないと縫い目が切り取り線のようになって切れてしまいます。

また、「99」と俗に呼ばれるボタンホールは、裏からあけて表側が「裏目」になります。そのため、どうしても綺麗な目が出ずらいのです。

来季のSack Coatもサンプルではその点が気になったので工場さんにいろいろと試してもらいました。


本来はこういったことを工場はしなくてはなりません。ならないのですが、うちのような小規模メーカー相手だと勢い、手を抜いてしまうことも無いとは言えません。

でもうちの工場さんは大丈夫です。みな、私が個人的に知っている人たちですし、工場というより「何々さん」という関係なのです。

ともすると、これがなぁなぁというか、悪い方向に働くこともありますが、私の場合、最後の部分は「品質」であり「それを買っていただき使っていただくお客様」が大事です。事実、どんなに良く知っていても、品質・納期が要求に満たない場合は発注しません。

お互いを良く知っていること。「WORKERSだったらこれはOK、これはNGだよな」という、仕様書に書ききれない部分まで理解してくれていることが大事だと思います。

歌舞伎・音楽・洋服


日々、こんな仕事に追いたてられ更新もブログの更新すら出来ず・・・言い訳です。

で、そんな日々で風呂に入りながら気付いたこと。

歌舞伎と洋服とYMOとクラフトワークとジャズ、私が好きなものはすべて同じということ。

まず歌舞伎から。
歌舞伎には、人気のある演目、勧進帳とか助六、弁天小僧とか髪結新座、何度も繰り返されて演じられる演目があります。

人から「同じもの、ストーリーも分かっているものをなぜ何度も見るのか?」と聞かれた事もあります。

確かに筋も、やり方もほとんど同じ。でも、それぞれを演じる人が違う。同じ人でも年が違えばまた微妙に違う。さらに、それを見るこちら側も、その時の自分の置かれている状況で感じ方が違うのです。


ここでふと考えると、私が好きで仕事にした洋服も同じ事です。
ジーンズはだれが作ってもジーンズだし、ボタンダウンもカバーオールもそう。
そして、人気のある製品は繰り返し、様々な人、メーカーによって作り続けられます。


思えば、学生時代、同じようなカバーオールをヘッドライトとクラウンとヘラクレスと、作るメーカーやブランドによって微妙な差があるのを見て、楽しみながら覚えました。

リーバイスのジーンズが年代によって微妙な差がある、これなんかも「若い時の吉右衛門はこんな感じだったが、今は違って・・・」なんて話と全く同じです。

(もちろん、お芝居=完全なる趣味・アートの世界/洋服=実需品としての側面といった違いはあるのですが、私が作っているような洋服は実需半分、趣味性半分の世界ですから。)


YMOやKRAFTWERKも年代やライブによって同じ曲のアレンジが違うのを楽しむ。

ジャズもDinahという曲一つにしても、私の好きなMuggsy Spanierでもともと知ったのですが、最近Thelonious Monkが弾いてるのを聞いてまたDinahという曲自体が好きになったり。






結局、私にとって芝居も音楽も洋服も、楽しみ方はいつも同じなのだと気づきました。
同じような物、同じような演目、同じような曲の微妙な差を感じる。

ある意味「どうでもよいこと」の塊ですが、そんなどうでも良いことを知る楽しさに気付けると人生というのは少し豊かになるかもしれないなぁと最近思います。

ただ、そんな「どうでもよいもの・こと」だからこそ、精一杯、まじめに、考えて、工夫してやらないと心に響かないのです。その話はまた次回・・・

やっとリアルに着られる時期に



やっと岡山も寒くなってきて、スウェットやパーカーが着られる時期がやってきました。
ここからは長くて2-3月までは寒いのですが、その間には春夏の納品も始まるという・・・

10年以上、この世界でやってきて多少は慣れたとはいえ、やはりどうなんだろうなぁと思う部分でもあります。

やはり、首元まであるジッパー、これを上まであげると首元が隠れるので暖かいです。

で、そんなパーカー、吊り裏毛を使った都合、ロットが必要なのでそれなりに在庫作っております。
ぜひ、この機会にお買い求めください。(売れなくてもず~っと在庫はするのですが)

http://www.e-workers.net/store/stocks.htm

Cotton






今日も楽しかった!!

本日は犬の散歩に始まり、ジン(綿から不純物をある程度取ってベールと呼ばれる持ち運びできる形にする工程)、綿花畑、さらにはピッカーと呼ばれる収穫する機械。この機械に乗せてもらったのが今日のハイライトです!

日本広しと言えどピッカーに乗ったデザイナー(一応)パタンナー(一応)は私ぐらいではないでしょうか。別に乗ったから良いジーンズやデニムができるってわけではないのですが、せっかく0から別注してデニムを作るからにはそのコットンがどのようなところで、どう作られているかを見たかったのです。

で、綿(ワタ)のピッカー、これは綿の収穫にしか使えません。
他の収穫機は大豆だトウモロコシだと転用できるのに。挙句、綿のピッカーは値段も高いし、売る時も高く売れる。さらに、綿花の価格もあまり上がらないということで、他の作物に転作してしまう農家も多く大変だとアメリカの商社さん&その商社さんが仕入れるブローカーさん(農家と取引してる人)は言っていました。

私の来秋冬デニムで使うコットンは今日見たテネシーのブラウンスビル始め、ミズーリ、アーカンソー、ミシシッピ、ルイジアナ等で取られたコットンを使います。
一口に「メンフィスコットン」と言ってもメンフィスの周りで取れたコットン、それをさらに色、不純物の残り具合で等級に分けて指定の等級の物が日本の綿商社さん(綿業と呼ばれます)に送られるのです。

さらに言えば、「メンフィスコットン」と言わず「EMOT」イースタン、メンフィス、オーリンズ、テキサス、これらのコットンがその時々でタイミングを見て出荷され最終的にWORKERSの使う糸になるのです
産地は若干ばらけますが、どれも等級はある一定の範囲に入るものです。

よく考えれば当たり前で「テネシー州の中でもメンフィス地区で取れた綿」とか指定しまうと、では今年メンフィスで害虫が出たら?たまたま雨が多くて収穫量が少なかったり、品質が指定より悪かったら?何月何日にしか手配できない。手配しようとしていたけど、様々なタイミングで出荷されてしまって来年まで待つのか?待っても買える保証が無い。とかいろいろ問題が起きるわけです。

収穫も毎日行われ、そこから先のジンと呼ばれる工程、それを倉庫にしまって、どのタイミングでアメリカの商社が買うか、どのタイミングで日本の商社がオーダーするか等など、様々なタイミングが複雑に絡み合っている世界です。いわゆる、現物やら先物やらという話です。

ここまで来ると、1アパレルがどうだこうだ言える話ではなくて、「コットンインダストリー」の世界です。

やはり、今日の取材でもアメリカのコットンというのは常に改良が進んでいる事がわかりました。品種の改良だけでなく、栽培の方法、その後の刈り取り方、ジンの工程、そこから先の流通の仕方まで、この20年でも目覚ましく変わったそうです。
ある意味「昔と似たものが作りたいから、綿をどうこうしたい」などというのは彼らにとってはナンセンスな話なのです。

今でもアメリカの商社さんはアメリカ国内向けはコーンミルズ始め、紡織メーカーに綿を直接売っているそうです。
日本には綿の商社向けのみ販売で、直接紡織メーカーには売っていないそうです。

偶然にも、今回私が糸を頼んだ紡績メーカーさんは綿の商社もしています。そのおかげで今回、素材まで見ることができました。

帰ったら、さっそく今回見たコットン達を使って糸作りが始まります。これもまた、見に行く予定です。楽しみ!

2月納品予定製品、受注中です










サイトに2月納品予定製品の詳細をアップしています。
春夏納品の山場が2月なので、なかなかのボリュームです。

WORKERS初のカットソーを始め、抜染の新柄、ワークシャツもボタンを新たに作成。
薄手のシャツジャケット、Sack Coat。

細めのネクタイ、新色を加えたリングベルト。
さらに、夏向きにリップストップを使ったベーカーパンツ。

いずれもシンプルでクリーンな春・夏に適した製品です。

ぜひ、詳細をご覧ください。

メンフィスから愛

それを言うならオレゴンから愛ですが。
やっとメンフィスにつきまして、今日はコットンミュージアムを見てきました。

今回、明日はアテンドがつくのでレンタカーを借りずタクシーをホテルで手配してもらうと謎の個人タクシー。アウディのA8でハルベリー目指したけど、若干和田アキコ方向へそれた感じのおばちゃんが送ってくれました。

帰りもタクシー拾えないだろうな~と思い頼んでおいて正解。メンフィス市内はあまりタクシー流していません。近くのホテルも見に行ったけど、施設内にしかいないので頼みづらかったし。

そんな話はさて置き、コットンミュージアムです。







いや~、興奮した!
技術的な話云々の前に展示がカッコいいこと!単純にやっぱり古い物のデザインはカッコいい。

もともと、この建物はMemphis Cotton Exchangeといってコットンのグレードを選別したり(手とか目で)相場を決めたり、でその情報をWestern Unionが各地に送ったりということをしていたみたいです。

で、今ではその役目は終わってしまったので当時の相場表などをそのまま残してミュージアムにしています。

驚いたのが、色にしろ、繊維長にしろ人が目で基本的に判断していた事。その良い意味でも悪い意味でもざっくりした基準。年によってそもそもの綿の出来栄えも違うし、今みたいにブレンドして均一化することも限界がある。

それと、色や繊維超がここまであるのか!というぐらい種類がありました。
一口に「アメリカンコットン」と言ってもそれこそ、デニムにしたようなある意味あまり質の良くないコットンから、もっとシャツ生地みたいに繊維長や色が厳密なものまで色々あったのを再確認しました。

特にデニムに限って言えば、糸は太い、色はインディゴで染めてしまうわけですから、ある程度の引っ張り強度さえあれば安いものをどんどん買って使っただろうなと。となると、時々によって微妙に最終出来上がったものは違っただろうし。

よくいう「昔の再現」というのは、限界があるというのを目で見て感じました。ある意味で私のこれから作るデニムは昔の再現にはそこまでこだわりがありません。今日のアメリカンコットンを使って、今の技術で自然なムラ糸を作って、100%インディゴのロープで染めて日本でデニムを作りたいのです。

明日みる「ジン」と呼ばれる綿から不純物を取り除く工程もこのミュージアムで見たほとんど人力の世界と今では精度のレベルが違うと思います。そのあたり、明日、確認してきます。

恒例、変な時間に目が覚めて腹が減る




綿花の勉強&取材で5年ぶり?ぐらいのアメリカです。
本当は「ただいまメンフィスです」と言うはずが、まだシカゴ。乗り継ぎがキャンセルになりました。

シカゴは寒く、スズメが建物内に避難するぐらいです。

明日の便は予約できたので(乗客50人ぐらいの小型機なので、今日からのキャンセル変更でもういっぱい)明日は飛んでほしいです。というか、さすがに月曜日が取材日なので、もう一日でドキドキしたくないです。

それにしても、予約の変更頼んで確認してくれて「ワオ!今日の便、後も全部いっぱい!明日ね」みたいな。軽い。

シカゴで一日できてしまったので観光もしたかったですが、眠さに負け・・・とりあえずチェーンホテルですがシカゴピザだけは食べて寝ました。おいしかった。

で恒例の変な時間に目が覚めてというやつ。初めて行ったシンシナティは周りに何も無くて(というか怖くて出たくないところで)、朝6時になるまで腹が減って減って・・・今回はさすがに、スナック買っておいたので良いですが。

そう考えると、日本の何時でもコンビニがあっておにぎりぐらいは食べられてというのに慣れてるんだな~と感じます。(田舎はそれはそれでコンビニもいけないのですが)

メンフィスで時間があれば、Imogene Willieまでメンフィスからレンタカーで行こうかと思っていたのですがすべて明日飛ぶかどうか。

ではまた明日!