Cotton
今日も楽しかった!!
本日は犬の散歩に始まり、ジン(綿から不純物をある程度取ってベールと呼ばれる持ち運びできる形にする工程)、綿花畑、さらにはピッカーと呼ばれる収穫する機械。この機械に乗せてもらったのが今日のハイライトです!
日本広しと言えどピッカーに乗ったデザイナー(一応)パタンナー(一応)は私ぐらいではないでしょうか。別に乗ったから良いジーンズやデニムができるってわけではないのですが、せっかく0から別注してデニムを作るからにはそのコットンがどのようなところで、どう作られているかを見たかったのです。
で、綿(ワタ)のピッカー、これは綿の収穫にしか使えません。
他の収穫機は大豆だトウモロコシだと転用できるのに。挙句、綿のピッカーは値段も高いし、売る時も高く売れる。さらに、綿花の価格もあまり上がらないということで、他の作物に転作してしまう農家も多く大変だとアメリカの商社さん&その商社さんが仕入れるブローカーさん(農家と取引してる人)は言っていました。
私の来秋冬デニムで使うコットンは今日見たテネシーのブラウンスビル始め、ミズーリ、アーカンソー、ミシシッピ、ルイジアナ等で取られたコットンを使います。
一口に「メンフィスコットン」と言ってもメンフィスの周りで取れたコットン、それをさらに色、不純物の残り具合で等級に分けて指定の等級の物が日本の綿商社さん(綿業と呼ばれます)に送られるのです。
さらに言えば、「メンフィスコットン」と言わず「EMOT」イースタン、メンフィス、オーリンズ、テキサス、これらのコットンがその時々でタイミングを見て出荷され最終的にWORKERSの使う糸になるのです
産地は若干ばらけますが、どれも等級はある一定の範囲に入るものです。
よく考えれば当たり前で「テネシー州の中でもメンフィス地区で取れた綿」とか指定しまうと、では今年メンフィスで害虫が出たら?たまたま雨が多くて収穫量が少なかったり、品質が指定より悪かったら?何月何日にしか手配できない。手配しようとしていたけど、様々なタイミングで出荷されてしまって来年まで待つのか?待っても買える保証が無い。とかいろいろ問題が起きるわけです。
収穫も毎日行われ、そこから先のジンと呼ばれる工程、それを倉庫にしまって、どのタイミングでアメリカの商社が買うか、どのタイミングで日本の商社がオーダーするか等など、様々なタイミングが複雑に絡み合っている世界です。いわゆる、現物やら先物やらという話です。
ここまで来ると、1アパレルがどうだこうだ言える話ではなくて、「コットンインダストリー」の世界です。
やはり、今日の取材でもアメリカのコットンというのは常に改良が進んでいる事がわかりました。品種の改良だけでなく、栽培の方法、その後の刈り取り方、ジンの工程、そこから先の流通の仕方まで、この20年でも目覚ましく変わったそうです。
ある意味「昔と似たものが作りたいから、綿をどうこうしたい」などというのは彼らにとってはナンセンスな話なのです。
今でもアメリカの商社さんはアメリカ国内向けはコーンミルズ始め、紡織メーカーに綿を直接売っているそうです。
日本には綿の商社向けのみ販売で、直接紡織メーカーには売っていないそうです。
偶然にも、今回私が糸を頼んだ紡績メーカーさんは綿の商社もしています。そのおかげで今回、素材まで見ることができました。
帰ったら、さっそく今回見たコットン達を使って糸作りが始まります。これもまた、見に行く予定です。楽しみ!