18FW量産反



生活感あふれる仕事場ですが・・・。
来年の秋冬生地が少しづつ出来上がって来ています。

私はいわゆる「別注生地」を作るときはいきなり、ある程度の量で量産反を作ります。
本来は「サンプル反」という50M程度を作って展示会サンプルを作る。そして、展示会でオーダーがついた数に合わせて素材を作るのが普通のやり方です。これだと、ロスも少ないので。

では、なぜWORKERSは最初っからある程度の量生地を作ってしまうか。
一番は品質を安定させたいから。どうしても、「サンプル反」と称してたとえば50Mだけ作り、その後、量産反として別に作ると品質にブレが出ます。色にしろ、縮率にしろ。それを安定させたいのが一つ。

もう一つは、自分が惚れて、どうしても作りたい!と思う生地ならたとえそれを製品にして注文がつかなかったとしても、また注文がつくような形を思い浮かぶまでトライするべき!考え続けるべき!という事。
たとえば懐かしの、モールスキンがそうでした。

手前が作った生地で奥がオリジナル。

こんな生地形を作りましたが・・・まったく売れませんでした
かっこいよかったのですが
作っていた時の途中経過はこちらにもあります。

この時も数百メートル作って、最初のジャケット・パンツで使ったのは100Mにも満たない量でした。ショックでしたが、自分としては作りたかった生地・形を高いレベルで再現出来たので満足でした。(金銭的には厳しかった・・・)
それでも残った生地は、何か、この生地にふさわしい良い形があるはず・・・そこで考えに考えて、カーコートをタイトフィッティングにした、あのTeds Jacketが開発されたのでした。


懐かしのファーストロットTeds Jacket
当時住んでいた家の壁を漆喰で自分で塗って撮影してました
WORKERS初期のヒット作、Teds Jacket。
このあたりから、単純に古着の何かを再現するところからまた、違った自分なりのアレンジを少しづつ出来るようになっていったと思います。


サンプル反を作り、必要な分だけ量産反という風にリスクを取らない方法がある意味でスマートで正しいのかもしれません。でも、そんな風にばかりしていたら、Teds Jacketは出来なかった。
こういう経験から、私は生地を別注するときはある程度のロットでいきなり作ってしまうのです。
もちろん、毎回ドキドキではあるのですが。

そして、18FWでは先ほどのサージだけでなく、コートの裏地も作るという我ながらバカな事もしています。見えない部分なんだから、何か既製品の生地を使えば良い所、どうしても、こんなチェックが欲しいとか考えてしまい作ってもらっています。
裏地は凝りだすと、表地以上に既製品のバリエーションが無いので作るしかないのです。