Tシャツ、糸作り

海外のお客様から「お前のTシャツ、どうやって作ってるん?」って問い合わせがあったので久しぶりに。

以前、紹介した内容と重なりますが、そういえばブログで紹介してなかったなということで。 最初の年に14番単糸を作った時の内容で、今はこの糸番手を杢19、無地20に成っていますが基本的に同じ。ブルー、レッドの杢は既成糸は無いのでオリジナルで作っています。


WORKERSのTシャツ、自分が最初に作るならば・・・ということで杢Tを選びました。それもコットンレーヨンじゃなくてコットン100を!ということでどこで作ってもらうか。
これも人の縁で、やはり7-8年前でしょうか。前職、縫製工場に勤めていた頃のお客様の展示会で知り合ったカットソー屋さんがいました。そのカットソー屋さんを改めて紹介していただいてスタートです。


ビンテージのTシャツを見ながら相談。糸の番手はほぐしてみてわかる。編みの目付・編み形状もわかる。問題は色と原綿。
糸だけで見ても中々わからないので、実際に編んだものも見ながら検討。グレーは良しとしてブルーが私が作りたい色がありません。
そこで、ブルーは別注でワタから糸を作ることに成ります。





やってきました、紡績さん。綿(ワタ)から糸を作られているメーカーさんです。

このTシャツを作った時が最初の訪問。その後、セーターを作るようになってからも同じ糸屋さんで、先日もそのセーター屋さんの社長と一緒に行ってきました。その話はまたおいおい。

原綿が大量に並んでいます。産地ごとに綿の性質、色が違うのでいろいろと。ちなみに、この綿の一部は今度はWORKERSのジーンズ用糸を作り、綿を輸入している会社さんから来ていたりします。う~ん、狭い業界。


で、いきなり混ぜてます。この前工程もあるのですが、企業秘密ということでお見せできません。均一に混ざるよう、独特なコツがあるそうです。
WORKERSで杢(グレー・ブルー・レッド)に使っているのが「ラフィー」と呼ばれる糸。糸を作る際、「コーマ」と呼ばれる短い繊維を落とす工程があり、ここで落ちた綿(ワタ)とバージンコットン(一度も糸になっていない繊維)のワタを混ぜて作った原綿です。
なぜわざわざ短い繊維を入れるかと言うと、それにより自然なムラが出るから。一言で言うと、私が作りたいような昔のTシャツは今よりも品質で落ちるワタも使われていました。今、普通にある糸で作ると、糸の表面がつるつる、もっと高級感ある風合いになってしまうのです。そこであえて、短い繊維のワタを混ぜているそうです。この真逆を行く、つるつるした糸はCotton Sweaterで使っているオーガニックコットンのコンパクト糸というものです。

作りたい製品の風合いに合わせて、出来る限り長い繊維の綿を使い、毛羽も少なくすることもあれば、その逆もある。Tシャツの場合は、あえて短繊維を少し混ぜることでふっくら感、ラフな感じを出しています。



と、ちょっと熱苦しく語りましたがワタ出来上がりです。WORKERS別注糸の工程が見られたのはここまで。
ここから先は白糸で解説します。この日、WORKERSの原綿が混ざったのですが、それがすぐに次・次と工程を進んでいくわけではありません。
この混綿をした機械も混綿のあと数時間かけて掃除されます。それぐらい、色糸というのは作るのが大変なのです。