Upcoming... 追記
6月受注はツイードが登場予定。
ただいまキャプションやら画像やら作成中です。
あらためて、クローズアップ写真を撮影しながら実物を手にしています。
無地はかなりウェイトのあるツイード。
シェットランドウールをあえて短くカットして、メリノウールのボア部分(お腹や羊表面のカールした部分)と混ぜて糸を作って織りあげたもの。
本来、ツイードはシェットランドのボア部分を多く使って作られていたはずですが、そもそもシェットランド島の羊じたい量が居ないのでボア部分が残念ながら私がお願いしている日本の紡績(糸屋)さんでは原毛として使えない。
でも、シェットランド島の羊が持つ独特のがりっとした手触りの原毛を使いたい。
そこで、羊の表面ではなく、その中。本来、とても綺麗で繊維も長いウール。これをあえて切って、メリノ(オーストラリア系)ウールのボア部分と混ぜて糸を作る。
ビンテージのハリスツイードなどで見られるのめちゃくちゃ固い生地とも違う。
メリノウールだけで作った柔らかめのツイードとも違う(チェックはこのメリノ系)
その合間をつく、バランスの良い生地に成っていると思います。
昔とまったく同じに作る事は出来なかったり、諸条件が合わないことが多々あります。
たとえば、古いものと同じ規格で作る事は出来てもそれをわざわざ日本に持って来て服にした時に、ジャケット1枚で10万に成ってしまう・・・だったら既製品よりオーダーに使った方が私は良いと思います。
既製品の矜持というか、このあたりは企画する人の考え方もあるのですが。
今回の生地は古いものの風合いとも、現行で普通に作ったのとも違う。
一工夫ある手触り、重さ、風合いが良く出ていると思います。
週末にはアップする予定です。お楽しみに。
そういえば、そのボアと呼ばれていたカールした部分と「中の方」と呼ばれていた真っすぐで長い繊維。見本をもらったのでした。
左が羊の表面にある毛、通称「ボア」。ウール自体はオーストラリアのメリノウール。これでも洗って汚れは落としていますが、取りきれない若干のくずが残り、毛はカールし繊維は短い。
そして、右側が通称「中の方」。シェットランドにすむ羊の毛の中の方、一頭の毛の中ではある意味「上等な部分」です。ウールのちくちく感は皆無。
繊度はメリノウールが種類にもよりますが20-25ミクロン程度。
シェットランドが30ミクロン程度。一般的に、シェットランドの方が繊度が高いというか、太いというか。
ちなみに「繊度」はその名の通り「せんど」で繊維の太さの事。
先日、コットンの紡績さんに行ったのですが、その時も繰り返し「繊度」は話の中で出てきました。
で、この右側、まっすぐな部分100%で糸を作ると繊維は太いけれどカールが無いのでツイードにするにはどうしてもしなやかすぎる。そこで、メリノウールのカールした部分と混ぜて糸を作ることにより、シェットランドウールの持つ固さ、メリノウールのボア部分のカールした風合い、その両方を持った素材が出来ると言う事です。
ビンテージのシェットランド100であろうツイードとも違う、現代的なメリノ100で軽く柔らかなツイードとも違うものが出来る訳です。
ただ、生地の固さだけ言えば様々な加工もあるので一慨に「素材がこうだからこの固さ」とは言えないのですが、今回は素材のブレンドを工夫して、後加工などはしないで最終的に求める生地の風合いに近付けています。