USMCのチノ?

http://www.e-workers.net/military/trousers_usmchino/1.htm

USMCのチノ、と呼ばれているトラウザーズをアップしました。

いい加減「似たようなチノ何本乗せるんだ」と思われるかもしれませんが、このチノ、似たようですごく良くできているのです。

まず、USMCのチノと呼ばれる理由は特徴的なボタン。これでなぜか、古着屋さんでは「USMCのチノ」と分類されています。ただ、一次資料がわからないので一応「と呼ばれている」にとどめておきます。



元々はフラップがあって、ダーツの方向が外向き。Army Officer's Trousersと似ているけれど、また違うな・・・といった経緯で入手したのですが(Search Lightさん、ありがとうございます)


一番勉強になったのはこのポケットの部分。
通常、ポケットは白系のスレキ。それに見返しという表生地と同じ生地を乗せ、身頃と縫ってひっくり返します。

これだけではわけがわからないので久しぶりに・・・


久しぶりに、昔の写真から。この右側、四角いというか、これが見返しです。
これを乗っけてから、さらに右下に見える身頃と縫って・ひっくり返す。

つまり・・・身頃が二枚・見返しが二枚・袋が二枚、計6枚にも成ってしまうのです。

もちろん、厚みを押さえようと見返しの端をカットしたり、左側に見える向こう布と厚みのある部分をずらしたりするのですが、根本的には「見返し邪魔だな」といつも思っていました。

脇を巻き縫いするパンツ系はとにかくこのポケット口の厚みをどうやってかわすかがポイントになります。

そこで今回のトラウザーズ。目からうろこの「そもそも袋布を表生地にしてしまえ」です。

極論すれば、向こう布(上の写真では左側の三日月のような部品)も無くても良いのですが、さすがにこれが無いと強度的に落ちるのでたとえ同じ生地でも向こう布ははってあります。


そして、尻繰りも割り。普通、脇・内またを巻き縫いをしていればここも巻いてしまいたいところ。
ただ、サイズ調節が出来なくなってしまう事もあったのでしょう。あえての割り。これならサイズ調節可能。

さらに、後々、内またを巻いた時に厚みが少なくて済みます。(何回も厚みと言いますが、本当に巻き縫いは加速度的に厚みが出るので有る程度肉のある生地で縫うのはきちっと仕様が作り込まれていないと難しいのです)

久しぶりに、古着見て「すげぇ!」とうなりました。人から見れば似たような物でも、細かなディテールの違い、単にコレクター的視点ではなく、その細かな工夫に唸るのです。