グレーディング

本日は4月受注中の製品の最終グレーディングをしています。
どの型も過去やったことがあるので、基本的な部分はできているのですが、それでも最新の仕上がった製品を自分で着てみたり、人が着ているのを見て感じたことから微調整をしていきます。(もう少し、ここはサイズ大きくなった時に寸法があったほうがいいかな、逆に小さいと余ってるかなとか)

グレーディング、まずは大まかにウェストがこれだけ、ヒップがこれだけといった数字を入れます。そうすると、それに従い、まずはソフトが「まぁこれが正解かな」という動きをします。

ウェストのようなわかりやすい位置は、そのソフトに入っている計算式もまぁまぁ正しいことが多いのですが、それ以外の場所になると、元の形との兼ね合いも出てきてイマイチな部分もあるのです。たとえば・・・


矢印の469番。これはヒップ寸をもとにワタリが計算され、さらにワタリの後ろ脇の配分比に従って動いているのですが、デフォルトで入っている配分比がちょっと大きすぎる。
そのため、こういう脇のラインだと特に大きくなった時にとてもイマイチな形になっています。カクカク折れてる、これは基本的にNG。どうしてもこの寸法が欲しいならばもっと上からラインを変える方法があるのですが、今回、ワタリ配分比自体が多すぎるのでそちらの数値を変えて・・・

CADのソフトがWin10対応・クレアコンポ2に変わりました
安くなったとはいえMT-07買えるぐらいしますし、そもそもクレア1でも良かったのですが
PC入れ替えにつき仕方なく・・・釈然としませんが

まぁ、良いかな?というラインになっています。もちろん、必要な寸法があったうえでの話ではありますが、ラインはきれいでないとうまく縫えません。(縫っても妙なえくぼみたいになる)

そもそも、今回グレーディングしているチノパンは脇が巻縫い。そうなると、巻縫いで縫える線という制約もありながら、必要な寸法は確保していかないといけない。
では、縫える線はどうしてわかるのか?といえば、それはやはり、縫ったことがあるからです。量産工場と全く同じミシンは無理にしても、同じ機構のミシンで縫った経験が無いとわからないのです。だから、私の昔住んでいた家には巻縫いが鎮座していたのですね。

懐かしのブラザー巻縫い。
これがキッチンに居たのです。右のマグネットに折りまくった針がくっついてるのが
進行錯誤していたのを物語っています
グレーディング、よく外注に出したら?と言われるのですが出せない理由がこのあたりにあります。自分でも縫ったことあるので「この線はダメよな」とか気づいてしまう。そうすると、単純に寸法だけで動かしてはNG。どうしても寸法と線が両立しない時には、そもそもの線のポイントを入れ直したり、線を引きなおしたりしないといけないのです。そこまでやってもらうのは無理。やはり、自分で見ながら作業するしかありません。

それでも、そのおかげだなと思うのは、ずっと作っているOfficer Trousersも実は毎回細かな気づきを変えているので完成度は上がっている!(と思います)
今日、最新の一本を自分でおろしてはいてみてしみじみ感じてます。我ながら、よくできている。でも、時とともに変えるべきところは変え続けていきます。