服に対する興味の向く先

一応、「服企画」が私の生業。
時々で流行りがあり、そういうものに興味があるのか?とか、作らないのか?とか聞かれることがあります。

まず、流行ってる物に興味があるか?興味はあろうとなかろうと、目に入ってくるのが「流行り」だと思うので、どこかで影響は受けているはず。でも、積極的に
「今年はMA-1が流行ってるから作る!」とかはあまりないです。

「興味」と言われると、流行りよりも服の機構自体というか、過去・現在を行ったり来たりしながら、もっと細かなディテールに興味があります。

私の服の作り方は、「こういう意図を持ってこう作った。この意図としてはこれで一つの形になった。では、今度はそこに違う意図・目的を持って作るとどうなるだろう?」というのが、最近では一番多い方法です。(つまり一番、興味がある部分)

たとえば・・・


16FWで作ったスウェット。極厚の裏起毛生地でベーシックなスウェットを作ろうという意図でした。裾・袖口のリブもかなり絞って。袖リブは長めで折り返せるように。肘から先は細く、すっきり見えるように。中にはシャツを着るのではなくTシャツを着よう。だから、首もある程度詰めて。



着用写真でも、目指した意図が形に成っています。
首は中に着たTシャツがギリギリ見えるぐらい。袖はすっきり、肘から先は細め。
あくまで、ビンテージ的なリブ幅長め、それをバランス良くしていった製品です。

そして、これを自分で着ていて次のアイデアが出てきます。
「確かに、すっきりして見えるけどどうも着る時に袖リブの幅が太くてきついなと感じる時がある」

「アウトドアウェアで袖がすっと入るものがあるな。独特な袖口リブ形状をしていた・・・」
「そういえば、ビンテージでも同じような変な形したリブあったな・・・」
と連想が始まり、資料をいろいろとあたります。

で、それを形にしてみたのが・・・


この独特な形状をした袖口リブ。
袖口リブとして絞る為の面積が欲しい。でも、ぐるっとつけるとリブが重い、きつい。そこで、半分三角型に切り替えたリブをつけています。

裾リブも巾を細くして。考え方としては、アウトドアウェアのゴムパイピングと同じで巾の細い、伸縮性のある素材で身頃を絞る。

このように、興味の向く方向は機能性であり、素材の特性であり、それに合った仕様であったり。着てみて感じたこと、そこで感じた「もう少しこうなれば」をまた、次の形にしていくこと。

興味は尽きないのですが、それはあくまで「こういう方向性で変化させるためにはどうしたらよいだろう?」というものです。ここで「改善」とか「進化」は使いたくないのです。元の物も、その企画意図としては良い。あくまで、次作るものは、それとは違うものを目指しているので。

それが着る人にとって「あの時のはシンプルで良かった」とか「新しいのは、あの部分が変わって着やすいね」とか。逆に「変わりすぎちゃって好きだった部分が無くなっちゃったな」というのもあると思います。

あくまで、最後は着る人と自分の企画がビタっと合うか合わないか。それが、今合わないでもしばらくしてビタっと合う事があるのが製品を作る面白い所です。