16FWのカタログ作りが佳境。
レイアウトがほぼ終わり、これからキャプションを書いていきます。
30品番近いキャプション、最初は「かけるのか???」と不安だったのですが、これが書けます。
それもそのはず、どの品番も自分なりに「こんな組み合わせで着てもらえたら」とか「この工場の持つ技術でこの形は合うのではないか?」とか、いろいろ自分なりに考えて企画した製品ばかりだからです。
書いてるうちに「誌幅が足りない!!!」と成るのが常です。
正直、読んでもらえてるのかな?と思いながら書いては居るのですが、その製品の特長や完成までのエピソード。そしてコーディネートの提案をするように心がけています。ただ、本当はエピソードをもっと書きたいのです。
今回で言うと、USNセーターという、カットソーでセーター「風」に作った製品があります。
これは実現までなが~い道乗りがありました。
ボートネックも、これが一筋縄ではいきませんでした |
元々は、USNセーターをコットンで作りたい。そこからスタート。
ただ、探す工場、技術的な問題、量の問題で中々前に進まず一時頓挫しました。
(でも、その探す中で見つかった、もっとハイゲージのリンキングニットを作れる工場さんでCotton Sweaterは出来上がったのですが。)
で、一時棚上げした状態でおなじみ、名古屋のカットソーメーカーへ打ち合わせで出張。そこで、いつものように新作生地を見ていると、妙に分厚いセーター風の生地が。海外製極厚天竺(ホニャララジェームスですね)の、さらに倍の厚みを作ってみた!といういかにも、日本人がやりそうな「技術魂!」的な生地。
これがコットンなのですが、見れば見るほどUSNセーターによさそうな厚み。
ただ、このままでは「カットソー」すぎるので、襟首や袖口、裾といったパーツはカットソーの丸編み機ではなく、セーターを本来は作る横編み機で作れば、かなりセーターに近いカットソーが出来るのではないか???
でも、考えたとしてもこれが形になるかは別問題。特に心配だったのが、ウールと違ってコットンの編地は相当、きつく編まないと「切って縫った」時に糸が落ちるのです。サンプル作成を進めつつ、この話を古着屋、Search Lightさんでしていると、ご厚意でUSNセーターのコットン版を見せていただけたのです。
やはり現物を見ると、その縫い方、編みのテンションのかけ方、どれもとても参考になりました。
そんなこんなで、モックネックの方は完成に向かっていくのですが、同じ作り方でボートネックも作りたいと思い、こちらはさらに難航。
問題は首回りの始末で、最初は見返しをつけようとしました。
それも、身頃そのままの生地だと厚くてうまく始末が出来ないと思い、別布の薄い綿布をつけてみたのですが・・・伸びが無いので頭を通そうとすると相当首回りが大きくなる。かといって、着ると首回りがゆったりしすぎる。
これはもう、今回は諦めか・・・とファーストサンプルを見ながら落ち込んでいたところに、これもミリタリー古着屋さんの雄、EXTRA'S GARMENT SUPPLY & COさん。こちらで見つけたのが、Royal Canadianのボートネックセーター。
現物はウールでしたが、とても目が詰まった生地。
これの肩・首周りのつくりが本当に良くできていました。肩に当て布を裏からあてて、そのあて布を巻き込むようにネック周りを縫う。「この手があったか!!!」という本当に良くできた服でした。ネットで見た瞬間、電話しました。
と、ディテールを話せばもっと長いのですが、こんな感じで1枚の洋服、形ができるまでには紆余曲折があるのです。やっぱり、カタログに書くにはスペースが足りないですね。
このあたりの暑苦しい話は、ぜひ展示会で。