Quality first







本菊穴、糸がチェーン状になっている

普通の菊穴、シングルステッチで縫われている

来季のシャツ、Champion Shirtより。
昔、1929Patented Shirtと名付け、WORKERSで最初に作ったシャツとデザインソースは同じです。

あの時は、あの時なりに必死で作りました。
http://www.e-workers.net/store/3/p1.htm

が、やはり完成度は今のほうが上です。なので、あの時買ってくださった方には本当に感謝しかありません。
そして、当時は縫い目の細かさも今よりは粗く、サイズ感もよりタイトでした。
「あの頃のほうが良い」と言われた事もあります。ただ、私なりに、少しづつ良くなるように変更してきての今があります。

ぜひ、実物を展示会で見てもらいたい一枚です。

そして今回からは、菊穴もついに通称「本菊穴」 チェーン状にかがった穴になります。
画像の99W67で開けもらっています。
これも、話せば長くなります。

そもそも、菊穴の形状が違う事に気付いたのは古く、USNのカバーオールを手にしたときでした。
http://www.e-workers.net/items/jacket_usn/7.htm

その後、ミシンが違う事がわかり探しに探すもどこにも無い。
国内で1台は稼働しているのですが、とあるメーカーの専用ミシンでした。

2010年末、ロサンゼルスでミシンの頭部を発見。
なんとか、クロネコのロジテクス(だったかな)と話をつけ、現地でピックアップしてもらい木枠梱包して日本に送ってもらいました。
「さぁこれで出来るぞ!」と思ったのもつかのま、木枠梱包から出してみると、ミシンのはらわた部分がいっさいがっさい無い。これでは話になりません。

が、ミシンの神様は見捨てなかった。2011年、ご近所の工場さんがなんとこのミシンのレストアを始めました。無いと言われていたミシン、とあるミシン屋さんが持っていたのです。

私も以前探したときに「児島はあるはずだ」とだいぶミシン屋さんにあちこちあたってもらいました。
というのも、もともと児島は学生服が盛ん。チェンジボタンをつけていたので、昔はちらほらあったミシンだそうです。が、その後足付きのボタン(チェンジボタン)も糸付けに代わり、徐々に無くなっていったそうです。

近年は、コンピューター制御のカンドメ(通称電カン)で写真のような普通の菊穴が出来るようになったおかげもあり、すっかり消えたミシンだったのです。

で、話戻って近所の工場さん。整備も終わって使い始めたのですが、なかなか完璧には成りません。
実際、途中で部品が壊れる事もあり、その時にうちに眠っていたそのはらわたの無いミシンは進呈しました。はらわたは無くとも、キャム(ミシンの動きを制御する独特な形をしたパーツ)はあったので、割れた時にはうちのパーツも使ってもらいつつ、本格稼働には結局相当な時間がかかっていました。

そんなこんなで、ついに今回から本菊穴を出来るようになりました。

ここで誤解されたくないのが「本菊穴だからすごい」「電カンだから駄目」という訳ではありません。
ほどける、ほどけないでいえば電カンはシングルステッチなのでほどけづらいですし。(本菊穴もチェーンではありますが、まずほどけませんが)

私は昔の洋服を真似させてもらっているからこそ、出来る限りまねしたい。ただそれだけで、本菊穴にしたかったのです。

もちろん、このミシンを持っていて整備したミシン屋さんも、使いだした工場さんもすごいですし、その工場さんと変わった縁で付き合えたWORKERSはラッキーです。(もともと、その工場さんがWORKERSを見て「なんじゃこいつわ!」となって会えたのです)

ちなみに、ラッキーのきっかけはこれでした。
http://www.e-workers.net/store/3/p4.htm

今日も、その工場さんと話しましたが(たぶん、その工場さんにとって日本一近いメーカーなので)、結局我々、WORKERSにしろ工場さんにしろただただ品質を追い求めていくしかないという結論でした。
「じゃぁ、何が違って、何が良いのか」を伝える役割はうちの役割です。
展示会では、資料もご用意しております。週末には、個人客様向けの案内をお送りいたします。
会場で私のうっとおしい話をもしよかったら聞いてやってください。