Work in progress,,, White

耳はインディゴだと色移りが怖いので反応染めの糸を入れてます
うちから車で一時間かからないかな?
思わぬご近所で織ってもらっている白セルビッジ。
織上がり出したのを見せてもらいに行ってきましたが・・・う~ん、かっこいい。
経(タテ)が真っ白、緯(ヨコ)が生成りの糸。
生地規格自体は、WORKERSデニムと同じでタテヨコ7番。打ち込み本数も同じ。
先に、生成りの糸で織って生地で真っ白にしたのとは違う。びみょ~に色が入った白。

キバタ、最後に防縮(サンフォ)も捻じれ防止(スキュー)も毛焼きもしない生地。
縮率があるので、パターンに試行錯誤は必要ですが、生地で出来上がっただけでも独特の雰囲気があります。一緒に行ってくれた生地屋さん3人もお世辞抜きで「ええな・・・」と成ってました。

生地屋さんだって商売ですから、似た生地を作るかもしれません。でも、米綿100の山忠さんの糸を使った生地はWORKERSだけです(今は)
これも真似されることはあるかもしれませんが、それはそれで、良い生地だ!って認められたことだし、そもそもWORKERSで使える量と言えばたかが知れてます。
良い生地、糸、素材は皆が使うことで、産元も潤うし、お客さんだって、いろいろな商品が見られて楽しい。競争が起きて、産業全体が発展する。そういう考え方もあって、私は基本的に作り方を隠さないのです。
WORKERS見て「こんな作り方があるんだ」と知っただれかが、またその生地使ったり、そこから発展したもの作ったり。想像するだけでも楽しそうですよね?

自分も全力、相手も全力、そのうえで他に負けないものをWORKERSとして作りたい。プロレスで言うストロングスタイルですね。なんの話だ・・・

とにかく、このご近所製のホワイトセルビッジ、17SSで登場予定です。お楽しみに。

Organic Cotton Knit再び



このとんでもない時期にできてしまいました・・・オーガニックコットンニットです。

http://www.e-workers.net/store/stocks.htm

今回のロット、L寸は若干の編地変更をしています。着丈を少しだけファーストロットより短く、ウェストリブの収縮率を強くしてています。

さらに、サイズMも作成。WORKERSのシャツで14-15の方はMサイズ、16-17の方はLサイズといった設定です。13の方はMサイズを乾燥機で縮める荒業もありますが自己責任で。

実は、この前Vクルーネックの後にカーディガンも作っています。ここまでで、今回使っているオーガニックコットン・コンパクト糸の在庫が尽きてしまいました。
本当はグレーもやりたかったのですが、それは来年以降になりそうです。

もちろん、量があれば今すぐにでも糸つくりは始められるのですが、セーター数百枚分なのでまだ躊躇してます。作りたい製品は丸首、タートル、カーディガン、マフラーとたくさんあります。
糸を、このオーガニックコットン・コンパクト糸にこだわらないで、「同じ太さの綿糸」としてしまえば、これまた世の中には在庫があるので単純に同じ形・色というだけなら作れない事は無いです。たぶん糸値も下がるのでちょっとお安くもなります。
でも、今回のニットは長く着て毛羽立ちづらい物を作りたい。だから、スーピマコットン(米綿の超長綿)、さらにコンパクト紡績で毛羽を出来る限り少なく。これが企画の根底にあるので簡単に変えることが出来ません。


ジーンズの糸も綿から選んで完全別注しました。だいたい、セルビッジジーンズで1600本ぐらい。それがやっと最近すべて生地に成って、縫う目途が立ったところでして・・・
単純な生地の別注、プリントとか染めとかだけでなく「綿」だ「糸」だといった、とても量の要る別注までしているので、作りたいものを作れて楽しい反面、常に糸の在庫、生地の在庫を考えながらの生産に成っています。無くてもダメ、多すぎてもつらい。

でも、そんな苦労はあっても、去年できてからずっと着ていたセーターの風合い。何回も洗って、目が詰まって、でも毛羽がそんなに立って無い。
今日も、ジーンズをはいていて細めの経糸に見えだした微妙なタテ落ち。こういうのに気付くと「やっぱり、0から作ってよかったな」と思えるのです。

Tシャツ、糸作り

海外のお客様から「お前のTシャツ、どうやって作ってるん?」って問い合わせがあったので久しぶりに。

以前、紹介した内容と重なりますが、そういえばブログで紹介してなかったなということで。 最初の年に14番単糸を作った時の内容で、今はこの糸番手を杢19、無地20に成っていますが基本的に同じ。ブルー、レッドの杢は既成糸は無いのでオリジナルで作っています。


WORKERSのTシャツ、自分が最初に作るならば・・・ということで杢Tを選びました。それもコットンレーヨンじゃなくてコットン100を!ということでどこで作ってもらうか。
これも人の縁で、やはり7-8年前でしょうか。前職、縫製工場に勤めていた頃のお客様の展示会で知り合ったカットソー屋さんがいました。そのカットソー屋さんを改めて紹介していただいてスタートです。


ビンテージのTシャツを見ながら相談。糸の番手はほぐしてみてわかる。編みの目付・編み形状もわかる。問題は色と原綿。
糸だけで見ても中々わからないので、実際に編んだものも見ながら検討。グレーは良しとしてブルーが私が作りたい色がありません。
そこで、ブルーは別注でワタから糸を作ることに成ります。





やってきました、紡績さん。綿(ワタ)から糸を作られているメーカーさんです。

このTシャツを作った時が最初の訪問。その後、セーターを作るようになってからも同じ糸屋さんで、先日もそのセーター屋さんの社長と一緒に行ってきました。その話はまたおいおい。

原綿が大量に並んでいます。産地ごとに綿の性質、色が違うのでいろいろと。ちなみに、この綿の一部は今度はWORKERSのジーンズ用糸を作り、綿を輸入している会社さんから来ていたりします。う~ん、狭い業界。


で、いきなり混ぜてます。この前工程もあるのですが、企業秘密ということでお見せできません。均一に混ざるよう、独特なコツがあるそうです。
WORKERSで杢(グレー・ブルー・レッド)に使っているのが「ラフィー」と呼ばれる糸。糸を作る際、「コーマ」と呼ばれる短い繊維を落とす工程があり、ここで落ちた綿(ワタ)とバージンコットン(一度も糸になっていない繊維)のワタを混ぜて作った原綿です。
なぜわざわざ短い繊維を入れるかと言うと、それにより自然なムラが出るから。一言で言うと、私が作りたいような昔のTシャツは今よりも品質で落ちるワタも使われていました。今、普通にある糸で作ると、糸の表面がつるつる、もっと高級感ある風合いになってしまうのです。そこであえて、短い繊維のワタを混ぜているそうです。この真逆を行く、つるつるした糸はCotton Sweaterで使っているオーガニックコットンのコンパクト糸というものです。

作りたい製品の風合いに合わせて、出来る限り長い繊維の綿を使い、毛羽も少なくすることもあれば、その逆もある。Tシャツの場合は、あえて短繊維を少し混ぜることでふっくら感、ラフな感じを出しています。



と、ちょっと熱苦しく語りましたがワタ出来上がりです。WORKERS別注糸の工程が見られたのはここまで。
ここから先は白糸で解説します。この日、WORKERSの原綿が混ざったのですが、それがすぐに次・次と工程を進んでいくわけではありません。
この混綿をした機械も混綿のあと数時間かけて掃除されます。それぐらい、色糸というのは作るのが大変なのです。

インスタ

Workers Co,. LTDさん(@workers_japan)が投稿した動画 -


アップできてるでしょうか?
これは元型があってそれを修正しながら新しい型紙を作っているところ。

身頃の背中にベルトをつけて、穴をあける位置を決めて。
袖口の仕様を変えて、カバーオールのような見返しをつけて、そのカーブを調整して、ボタン位置を変えて、縫い代をつけて・・・という感じです。

こんな風に、一型づつちまちまと型紙を作っていきます。

17SSの修行中

おっと、袖口の縫い代が違う・・・

17SSサンプル作成中です。
この期間は、毎日ひたすら型紙作り、生地選び(時に作り)、ネーム選び(時に作り)、部品選び(時に作り)と、デザイン・型紙・デザイン・型紙、選んで選んで・・・と繰り返します。
楽しい半分、毎日同じ時間、同じ事の繰り返しは修行っぽいなとも感じます。これがもう少しすると、修行ハイになってくるのですが。

WORKERSは残業をほとんどしないので(そのかわり休めない時は休みも無い)今日もそろそろ終わりです。

が、頭の中ではずっと今の目の前の作業について。あの線はもう少しこうした方が良いか、この仕様の方が縫いやすいか。
そして、明日から手を付ける次の品番、その先の品番の生地等々が頭の中でぐるぐるぐるぐる回っています。


池波正太郎が連載小説を書くときに、最初だけ書いて後はしばらくほっておく。その間、音楽を聴いたり、マッサージに行ったり。でも、絶えず頭の中ではぼやっと考えていて、それがまとまりつつあるな・・・というのを感じ取って書き進めていくとエッセイに書いていました。まさに、それと同じで考えていないようで考えている。


もう一つ、同じく「同じだな」と感じたのが初代猿翁の芸談。役者は芝居をしていない時に芝居の勉強をするという話。
四六時中、ただただ踊りやセリフのけいこをする、というのではなくて何の気ない、普段の生活の時も始終、頭のどこかには芝居の事がある。だから、ふとした時に見た景色、その感覚や表情を芝居の時にふっと活かすといった話。
で、そういう感覚に成れるのはやっぱり芝居が根っから好きでないといけないという事でした。(同じような話は五代目菊五郎でもあります)

服作るのも、ただ型紙の引き方や部品の種類やら考えていれば良いのではなくて、ふと見た何か、感じた何かを今作るものに反映させないといけないと私は思います。それをするためには、やはり好きじゃないといけない。四六時中、頭のどっかに服が無いといけないと思うのです。

その初代猿翁の顔。今の役者が年とってもこういう顔には成らないと思う。
余談ですが・・・昔の役者の写真を見ると、今の役者が年を取ってもこういう顔には成らないと思います。うまい・下手とか、良い・悪いではなくて、生きている時代が違う。食べ物も違うし生活も違う。道徳も、感覚も何もかも違う。
うちの祖父思い出しながら、今同じぐらいの年代の人を見てもやっぱり何か雰囲気が違うのです。

私が作る服も、時間が経てば今ビンテージとして見る古い服と同じになるか?と言われれば、同じにはならないと思います。やっぱり、時代が違う。素材も違えば、求められる品質も、シルエットも違う。でもそれで良いと私は思います。

芝居も、洋服も、私は古い物、昔の物が大好きです。それでも、今の時代を感じる何かを求めて、線を引いて、工場へ行ってサンプルを作っていきます。