すごくいい動きしている。 ポイントの打ち位置、ポイント番号にコツがあります。 |
展示会に来られた方で、イタリアでオーダーメイドでスーツを作られている方が居ました。その方と、イタリアの既製服の話になり
「既製服なのに、それなりに誰にでも着られて、楽で、すっきりして見える。あれは、何十年と型紙や人間の体系に関するデータがあり、その蓄積で良く成って来た物」といった話になりました。
パターン、確かに原理原則はあるのですが、私は正直、原理原則はそこまでわかっていません。
ではどうやるか?
まずは、自分が作りたいなと思う服の型紙を抜き出します。
時には解体したりして。それが、WORKERS初期です。
あるときはそのものズバリ。またある時は、まったく別のジャケット型を別のミリタリーのデザインにあてはめたり。
その後、それを元に修正が始まります。ただ、それもその場その場でやっていると、だんだん「本当に自分が欲しい寸法はどれなんだ???」と混乱してきます。
そこで、次の段階でやったのがパターンのデータ化。
過去の品番の主要な数値、シャツで言えば身幅・肩幅・カマ深・アームホール寸・袖山寸・袖幅・肘幅。これらをエクセルでデータ化。
モデルが着た時の見え方、着た人の感覚をコメントで入れる。
さらに、グレーディングも気に成るところなので自分で着てみた感覚も入れます。
ここまでやると、だいぶ
「そうか、肩幅がこの程度でカマがこれだと、ちょっと肩入り気味だから脇の下が食い込むな」とか
「この形は、マスターサイズ自体がゆったり目に作ってあるから、小さく成るときはカマも小さくしないとゆったりしすぎる。大きくなる時はカマはあまり変えないでOKだな」とか、いろいろ見えてきます。
時々で考えながらマスターを作り、グレーディングをしていますが、時系列に沿ってみるとさらに深く、寸法から感じるフィット感や感覚を理解することが出来ます。
さらに、今では東レのCADソフトにも慣れて、上の画像のようにちょっとしたポイントや数値の入れ方で線を思い通りに動かすノウハウも増えてきました。
服づくりって、こういうすごく地味な部分の積み重ねでしか良い物は出来てこないと私は思います。先行するメーカーで積み重ねが出来ているところはすごく洗練されている。追いつくのは難しくても、それに少しでも近づけるよう、毎回のサンプル型作成・グレーディングもルーチンワークにしないで、気づいて微調整していきます。