Black and White Drill


次に紹介する製品の生地見本を探していて、久しぶりに見つけてしまいました。
下がオリジナル、上がWORKERSで作ったもの。

オリジナルは黒が少し抜け、さらに白場が汚れているのでボヤっとして見えます。
WORKERSのそれも、先日着こんだものを見せてもらいましたが、まぁ、恐ろしいほどオリジナルににていました。

ストライプのピッチも良くできていますが、それ以上にこの生地は土台にした生地がオリジナルに良く似ています。
糸の太さ、交差する組織、打ちこみ密度、よくぞここまで似ていると思います。
偶然、今もある生地で見つけられたのがラッキーでした。

ただ、常識的に考えれば、生地の土台になるスペックは
・糸の太さ/形状
・交差の仕方(組織)
・打ちこみ密度/テンション

この三通りの組み合わせです。じゃぁ、糸の混率をどうするのか、綿の産地は、糸のより回数・方向は、紡績に使う機械は何を使う、これらを考え出すとその組み合わせは途端に増えるのですが、基本は先の3点です。

これらが、生地の風合いをほとんど決めてしまうのです。
で、話は戻って昔の生地にそっくりなものがあった原因は、綾織り生地の「定番」だったからでしょう。
ただ、麻が入っているだけでここまで風合いが似るのか?とは不思議に思いました。
古い製品の混率はいくら顕微鏡で調べても完全にはわかりません。綿100でほぼ同じ組織の生地もあったのですが、最後は、手触り、見た目で今回使っている綿・麻混紡の生地を選びました。






こちら、1915年のモンゴメリーワードカタログ。
1926/28年のカタログもあるのですが、そちらにはこのBlack and White Drillは出ていません。

Stifelのポルカドット、RelianceのBlack Beauutyでおなじみブラックの綿サテンは出ています。

今の我々から見れば「古い」としか思わないシャツ達ですが、当時の人にしてみれば「今年はこれだよね」とか「あ~、あれは10年ぐらい前にはやったよな~、今まだあるの?」とか、そういう会話がされていたのだろうなと想像します。

今、我々がやってるのと大して変わらない事を100年近く前の人もしていたと思うと、のんびりした気持ちになります。WORKERSみたいな、小所帯だからやっていられる事でもあると思います。